60代が、なぜ「最高」なのか?
なぜ50~60代で「人生最高のセックス」が訪れるのか? さまざまな背景から考えていきましょう。
まずは時間的・経済的背景です。50~60代といえば、仕事では現場を離れて管理職になり、家庭では子育てが一段落して時間的、経済的な余裕が生まれる年代です。最近では、年齢差のある相手ともっとも頻繁にセックスをしているのは、60代男性であるという研究報告もあるようです。
片や30~40代は、50~60代に比べて体力はありますが、仕事や家事、育児に手いっぱいで、ストレスも多い年代です。子どももまだ小さく、思うように夫婦生活を営めないという現実的なハードルもあります。
ときに「刺激的な一夜を過ごしたい」と下半身がうずいても、仕事の疲れとストレスでそれどころではない……という人も多いでしょう。家のローンや子どもの教育資金など、なにかと物入りなのもこの年代です。ロマンチックな夜に投資する余裕も、なかなか生まれません。
それが、ようやく50~60代になると子どもも手を離れ、夫婦やパートナーと向き合う余裕ができてくる。セックスはマスターベーションと異なるコミュニケーションですから、相手にじっくりと向き合えたほうが、お互いの満足度が上がるのは自明の理です。
時間的、経済的余裕、性や恋愛への関心の高まりが奇跡的に揃う50〜60代
次に中高年の恋愛や出会い、性に対する意識の変化を考えてみます。
近年、中高年の熟年離婚が増加傾向にあります。厚生労働省の「令和4年度離婚に関する統計の概況」によれば、2020年における同居20年以上の「熟年離婚」は、過去最高の21.5%を記録しています。
さらに離婚までいかなくとも、戸籍上の婚姻関係は残してあるものの夫婦が互いにプライベートに干渉せずに生活をする「卒婚」という言葉も、最近はよく聞かれます。
離婚や卒婚で何十年かぶりにシングルになり、再び恋愛市場に参戦する中高年が増えてきています。さらに、SNSやマッチングアプリなどの普及により、中高年の出会いの場が増加・多様化していることも、恋愛や性への意識の変化を促し、積極的に出会いを求める人も増えています。
時間的、経済的余裕、さらに性や恋愛への関心の高まり、この3つの要素が揃うのが、ちょうど50~60代に差しかかった頃なのです。