タラバガニの足が4本で3万円

実態を探るべく、記者は6月下旬に黒門市場を訪れてみた。時刻は朝10時すぎ。すでに多くの人々でにぎわっていたが、その9割以上が外国人観光客だ。

それも欧米系ではなく、中国をはじめとしたアジア系が圧倒的に多い。彼らが集まるのは、その場で食べ歩きできるカニやエビといった魚介類、神戸牛や黒毛和牛といった肉串を売りにする店だ。店内のテーブル席も外国人観光客ばかりなのだが、驚くのはそれだけではない。

店頭に並ぶ「タラバガニ」は足4本で3万円、エビは1尾2500円。そのほか、ホタテは2個で1000円、岩手県産生牡蠣も2個で1200円。北海道産ホタテや岩手県産岩牡蠣が1個2~300円であることを考えると、およそ2~3倍の価格設定だ。いわゆる”観光地価格”どころではない。

高いものだとカニの足4本で3万円
高いものだとカニの足4本で3万円

もちろん魚介類は時価に左右されるが、雑貨店をのぞいてみれば、おもちゃのゴジラのソーラーマスコット(定価2530円)や、初音ミクのフィギュア(定価2975円)が、いずれも5000円で売られていた。

すべての店の商品が一概に高いとはいえないが、記者の体感では、黒門市場の半分程度の店が、相場よりも高く商品を売っているようにみえた。

久々に市場に立ち寄ったという30代女性も驚きを隠せない。

「およそ10年振りくらいに黒門市場に来たら、とにかく中国の人が多くて『ここは海外か!』とツッコミそうになりました(笑)。
それにエビ1尾で2500円って高すぎません? 晩ごはんのおかずでも買って帰ろうと思って来たんですけど、同じ値段を出すなら難波の高島屋で買いますよ」

エビ1尾3500円
エビ1尾3500円

正午をすぎるころには黒門市場を歩く外国人の数もピークに達する。

お祭りのようなにぎわいをみせる市場。金払いのいい外国人たちを相手に、先ほどの「タラバガニ」や「神戸牛」といった高級食材も飛ぶように売れていく。

この状況に地元住民は何を思うのか。