夏場の車には絶対に放置しない!
2つ目は、「高温になる場所で使用・放置しない」ことです。こちらも最悪の場合、発火を招く可能性があります。
リチウムイオン電池の最高許容周囲温度は、45℃と規定されています。通常の使用環境では、この気温を上回ることはないでしょうが、一部のシーンで気をつける必要があります。
たとえば、真夏の車内では1時間あれば温度が50℃以上に達しますし、70℃以上になることもあります。ほかにも、夏の砂浜などでも表面温度が60~70℃に達することがあります。
こういった場所でリチウムイオン電池を搭載した製品を使用したり、放置したりするのは危険です。ほかにも、直射日光が当たる場所などは、同様に注意を払いましょう。
また、冬場であっても、ホットカーペットの上や、コタツの中、ストーブの近くなどで、リチウムイオン電池を搭載した機器で充電行為を行ったり、製品を放置したりするのは危険です。さらに言えば、携帯カイロなどと一緒に、カバンの奥に入った状態なども注意しなくてはなりません。しっかりとバッテリーが放熱できる環境を整えましょう。
高温下でのリチウムイオン電池の発火には、さまざまな要因が絡んできます。
たとえば、高温で電解液が異常な反応をするようになったり、内部の部材が溶解したり、使用されている部材が気化したり、と複雑な過程を経て、「熱暴走」や「発煙/発火」を引き起こします。
もちろん、市販製品には通常の使用環境でこうした現象が起きないように、さまざまな安全制御が施されているのですが、想定されていない高温下では、異常が起きるリスクもあるのです。ユーザーとしては、熱くなるところで使用・放置してはいけないことを知っておくのが大切です。
なお、モバイルバッテリーなどの製品を多数開発・販売するアンカー・ジャパンがWebサイトにて公開している情報によれば、モバイルバッテリーの使用温度範囲は0℃~40℃、保管温度範囲はマイナス20℃~45℃ですが、同社としては理想の使用温度として0~25℃、理想の保管温度はマイナス10℃~35℃を推奨しています。
モバイルバッテリーは、その名称から“どこでも使える製品”という印象が強いものの、夏場はなるべく空調が整った室内環境で使用したほうが、トラブルを招きにくいと認識しておきましょう。