「アメリカン・オオタニ」フィリップス

最後に、2023年から新たにチームメイトになった選手として、「アメリカン・オオタニ」を自称するブレット・フィリップスを紹介せずにはいられません。

レギュラーではなく、故障者や主力の休養日に出場するサブメンバーとして期待されるいわば第4の外野手です。ノリがよく、明るいムードメーカーでもあるフィリップスですが、なぜ「僕がアメリカバージョンのオオタニ」と自称しているのでしょうか。

2021年7月2日のロイヤルズ戦、当時フィリップスが在籍していたタンパベイ・レイズが大差の展開で負けていたため、リリーフ投手を休ませる意味でフィリップスが8回に1イニングだけ登板し、“投手デビュー”を果たしました。1球だけ94.3マイル(約152キロ)をマークしましたが、ほとんどが70~80キロ前後のゆるい山なりのボール。わざとなのか、ちょっぴり変な投球フォームでファンを笑わせるパフォーマンスを披露し、SNS上で話題になりました。

2022年シーズンはエンゼルス戦でも”登板”。右打者のアンソニー・レンドンが、あえて左打席に立ち、フィリップスから左打席でホームランを打つ〝神プレー〟が誕生しました。

びっくり仰天の自称・二刀流は本家の二刀流・大谷さんとも対戦。ホームランは打たれませんでしたが、あっさり右翼フェンス直撃の二塁打を浴びました。“投手成績”は過去4試合で5イニング、11安打、ホームラン3本、9失点で防御率は16.20と散々な結果でした。

ちなみに、フィリップスは2015年の国際大会「プレミア12」にアメリカ代表としてプレーし、来日経験があります。また、かつて日本ハムの監督を務め、現在はコンサルタント契約を交わしているトレイ・ヒルマン氏は、義父の関係です。「僕の妻(ヒルマン氏の娘)が5年間日本に住んでいてね。どれだけ彼女が日本を好きでいるか、いつもそういう話題があがるんだ」と笑顔で明かしてくれました。

「大谷はプレーヤーとして、尊敬してやまない」というエ軍”第二のショーヘイ” ブレット・フィリップス。実は元日ハムのヒルマン娘婿だった_3
すべての画像を見る

もちろん元祖二刀流・大谷さんのことはリスペクトしていて「彼がやっていることは信じられない。メジャーリーグに来て、投げて、打って。それが実際にどれだけ難しいことなのか。考えられない。プレーヤーとして、尊敬してやまない」と言っています。

チームメイトがホームランを打つと、2023年のホームランセレブレーションの兜をいち早く持ち出してベンチ前で待ちかまえるお祭り男のフィリップス。球場を活気づけるエンターテイナーはエンゼルスをきっと盛り上げてくれるでしょう。

#1『「実は最悪だったマイナー環境」投打で活躍する大谷翔平がいてもエンゼルスの勝率が5割を越さない理由』はこちら

#2『エ軍・サンドバル左腕「からかい上手の大谷さん、彼はいつもふざけているよ」抜群のコミュ力の翔平にトラウトがかけた電話の内容とは』はこちら

#4『二刀流”完全解放”を英断…エ軍マドン前監督「唯一無二の才能に制限をかけてはならぬ」大谷翔平が贈った「感謝と自責の言葉」』はこちら

『もっと知りたい! 大谷翔平: SHO-TIME観戦ガイド』 (小学館新書)
福島 良一
2023年6月1日
990円
192ページ
ISBN:978-4098254507
お茶の間TV観戦が10倍おもしろくなる!

2023年3月のWBCで日本を世界一に導き
大会MVPを獲得する大車輪の活躍をした大谷翔平。

2023年シーズンのMLBも開幕から投打に好調な滑り出しを見せて、
2021年シーズン以来2度目のア・リーグMVP獲得にも期待がかかる。

規格外の活躍をもっと楽しむために知っておきたい
更新の可能性のある歴史的な記録とMLBの強力なライバルたち。

エンゼルスのベンチ裏秘話や現地発の愛されエピソードなど、
絶対に知っておきたい観戦や楽しみ方のツボを
大リーグ評論家の著者が詳しく解説。

大谷翔平ファン必読の一冊!
amazon