「なおエ」なエンゼルス…残念な負け方が多い
大谷さんがMLBに移籍してからの5年間、私は毎年のようにエンゼルスの快進撃を期待してはいるのですが、残念ながらエンゼルスは2015年から2022年シーズンまで8年連続でプレーオフ進出を逃しています。
春先はチーム状態がよく、チーム成績で上位に位置しますが、故障者や投手力不足で、最終的には失速。結局は下位に沈むという傾向がここ数年は顕著です。
MLB現役最高選手の呼び声が高いマイク・トラウトと大谷さんが奮闘しながらも、結局は試合に敗れてしまうことが多いエンゼルス。そこでインターネット上で生まれたのが、エンゼルスの弱さを揶揄する「なおエ」という言葉です。
「なおエ」とは「なお、エンゼルスは敗れました」という文章の省略形。
新聞などの活字メディアが、試合で大活躍をした大谷さんの様子をひと通り伝えたあと、文末に「なお、エンゼルスは敗れました」と記すことが多いのですが、それがファンの間で「なおエ」という略語として定着してしまったわけです。つまりそれだけエンゼルスは残念な負け方が多いということです。
例えば2022年6月21日のロイヤルズ戦、大谷さんは6打席で4打数3安打、ホームラン2本、8打点と大車輪の活躍をしたのですが、チームは延長11回を戦った挙句、11対12の1点差で負けました。このときは「大谷さん、1人で8打点! なおエ」といった興奮とため息の入り混じった書き込みがネット上にあふれかえりました。
大谷さんがエンゼルスに加入してからのチーム成績を振り返ると、2018年(マイク・ソーシア監督)が80勝82敗の4位で勝率は4割9分4厘、2019年(ブラッド・オースマス監督)が72勝90敗の4位で同4割4分4厘、コロナ禍で短縮60試合シーズンとなった2020年(ジョー・マドン監督)が26勝34敗の4位で同4割3分3厘、2021年が77勝85敗の4位で同4割7分5厘、2022年(マドン監督とフィル・ネビン監督代行)が73勝89敗の3位で同4割5分1厘となっています。
なんと、投打で活躍する大谷さんが加入してから、エンゼルスは勝率5割以上でシーズンを終えたことがありません。見ているファンはもちろんですが、一番がっかりしているのは、世界一の選手を目指し、ワールドシリーズ制覇を夢見てMLBに挑戦した大谷さんかもしれません。
戦力的には十分戦えるはずなのに、試合には弱いエンゼルス。一体なぜ?
試合を観戦しながら不思議に思っている方も多いのではないでしょうか。その謎はエンゼルスの球団の体質をひもとくと、答えが見えてくるはずです。