安倍洋子「晋三は、政策は祖父の岸信介、性格は父親を受け継いでいますね」

安倍洋子は、筆者にこう語っている。 
「晋三は、政策は祖父の岸信介、性格は父親を受け継いでいますね」

さらに安倍は、長州人の強みについて語った。 
「2015年、『明治日本の産業革命遺産群』の一つとして、松下村塾の世界遺産登録が推薦されました。明治の産業は、まさに日本が極めて短期間に欧米列強の技術や知識を吸収し、類まれなスピードで産業化を成し遂げた証です。それが遺産群として認められました。私は、この事実が、これから国を発展させていこうというアフリカやアジアの国々にとって、参考になるものだと思っています。 

松下村塾は、私の地元・山口県の萩市にあるため、”無理やり押し込んだ”など憶測をいう人もいるようですが、そんなことは決してありません。幕末・明治期の日本を主導した人材を多く輩出したという、教育の重要性が認められたのです。 

安倍洋子「晋三の性格は父親、政策は祖父の岸信介だった」…国葬儀の式壇に置かれた安倍晋三の議員バッジともう一つのバッジ_4

我々長州出身者は、みんな吉田松陰先生の人格から影響を受けています。高杉晋作も人気はありますが、吉田松陰先生の場合は、まさに人に対して、至誠の人なのですね。孟子の言葉を本当に実践しているようなところがあります。なかなか我々凡人にはできませんが、実際、短い生涯をかけて、その姿勢を貫いたところがあります。 

高杉晋作のイメージは、常に行動の人です。山口県では尊敬する人物は、やはり吉田松陰先生が一番になりますが、憧れる人物は高杉晋作です。 

吉田松陰先生のような人生は、とても送れない。高杉晋作は、いわばヒーローのような存在ですよね。やりたいことをとことんやるタイプです。 

父親の晋太郎、私の晋三の『晋』は、この高杉晋作の『晋』に由来しているわけですが、私自身のなかにも、長州人だなと思うところがあります。 
それは、意地っ張りなところですね。長州人は、意地を張るのが好きなのです。傾いたとはいえ、巨大な幕府に立ち向かっていったわけですからね。 

長州征伐に遭いながらも、外国の四カ国と戦争をしていました。藩ぐるみで無謀な戦いに挑戦していました。 

吉田松陰の言葉の一つに“諸君、狂いたまえ”というものがありますが、まさに藩ぐるみで狂っていたところがありました。
どこかで意地を張れるのが、長州人の強みなのかもしれませんね。私は、政治の転換期において自分の血が騒ぐのは、長州人の気質なのかな、と思うことがあります」

最終的に2万5889人が献花に訪れた

国葬儀には218の国・地域・国際機関から約700人、国内外を合わせると4183人が参列した。

またこの日、武道館近くの九段坂公園には一般向けの献花台が設けられ、献花に訪れた多くの人たちによって、長い行列ができ、列は献花台から二キロ以上、四ツ谷駅まで続いた。開始予定は午前10時だったが30分ほど早められ、最終的に2万5889人が献花に訪れた。

安倍洋子「晋三の性格は父親、政策は祖父の岸信介だった」…国葬儀の式壇に置かれた安倍晋三の議員バッジともう一つのバッジ_5
すべての画像を見る

#1『安倍晋三が昭恵夫人の前で泣き続けた夜…ゴルバチョフと蜜月関係を築いた父・晋太郎が死を目前に勝ち取った「二島返還」メッセージ』はこちら

#3『年末は大阪・西成の夜回りへ、なぜ安倍晋三は昭恵夫人の”大暴れ”を見守ったのか…浮気・愛人ゼロだった稀有な政治家の夫婦仲』はこちら

#4『なぜ安倍晋三は森友騒ぎで「離婚したほうがいい」と言われても完全無視したのか…妻であり、愛人であり、看護婦だった、昭恵夫人』はこちら

『安倍晋三・昭恵  35年の春夏秋冬』(飛鳥新社)
大下英治
2023年5月18日
1800円
300ページ
ISBN:978-4864109543
『安倍晋三 回顧録』(中央公論新社)がふれなかった
愛と真実の物語!


増上寺で行われた安倍晋三総理告別式で、昭恵夫人が挨拶でこう言った。

「十歳には十歳の春夏秋冬があり、二十歳には二十歳の春夏秋冬、五十歳には五十歳の春夏秋冬があります。(略)政治家としてやり残したことはたくさんあったと思うが、本人なりの春夏秋冬を過ごして、最後、冬を迎えた。種をいっぱい撒いているので、それが芽吹くことでしょう」

父・安倍晋太郎氏の秘書官時代から40年。
安倍晋三・昭恵夫妻をいちばん数多く取材してきた作家・大下英治が初めて明かす
人間安倍晋三と人間安倍昭恵
amazon