税金をかけて集めた記帳を廃棄?
9月27日に開催予定の安倍晋三 元総理の国葬。総額16億円ともいわれる多額の税金をかけるにもかかわらず、岸田内閣は法的根拠が無いまま閣議だけで実施を決めてしまった。
安倍元総理の死後の対応を巡っては、この国葬以外にも、法令に定められた手続きを逸脱する事例が地方自治体でも頻発している。今回は筆者が1年間にわたって継続的に市長記者会見に参加している横浜市の例を紹介する。
横浜市は安倍元総理の訃報から3日後の7月11日から18日まで8日間にわたって記帳所を市役所1階ロビーに設置。約3700人もの市民の記帳が集まった。
しかし、この記帳所設置には多くの問題点があった。7月21日の横浜市長記者会見で筆者が懸念点について質問した結果、以下3点が明らかになった。
① 一国会議員である安倍元総理の記帳に公費を投入して対応したことに法的根拠は無い
② 「一時的な保管」という理屈で市は個人情報保護条例で定められた「本来の手続き(市長への事前の届出、等)」を怠った
③ 同条例で実施機関外への提供が禁じられているため、市は記帳を外部に届けることができない
(可能性が極めて高い)
つまり横浜市は、個人情報保護条例を逸脱した超法規的対応をとらない限り、記帳を外部機関に提供することは不可能。法的根拠のない業務に公務員を従事させた上、3700人分の記帳は永遠に「一時的」と言い張って保管するか、廃棄するしか道がないのだ。これは記帳に訪れた市民の弔意を踏みにじった行為と言えるのではないか。