子供の将来は親の経済力が全てというわけでもない
勿論、遺伝の力を否定するものではない。しかし、現実の世界は研究室の中の無菌状態のシャーレではない。親の経済力など環境で子の将来がある程度決定づけられてしまうのもひとつの現実だが、それだけがすべてではないのだ。
遺伝子工学分野で新しい遺伝学として注目されているものに、「エピジェネティクス」研究がある。「エピジェネティクス」とは、「DNAの塩基配列そのものは変わらなくても、遺伝子の読み取られ方(オン・オフのスイッチ)が変化することによって、遺伝子の発現が制御されるメカニズム」のことだそうである。
簡単にいえば、遺伝子情報そのものは親から受け継がれ、変わらないが、その情報のすべてがオンになっているわけではなく、オン・オフのスイッチはその後の様々な環境によって変わるというもので、こちらの説の方が妥当性を感じる。人間、どこで何かの影響でスイッチが入るかどうかはわからないのだ。
繰り返すが、環境とは時間と場所と人である。どんな時代に、どんな場所で、誰と何を行動したのかによって劇的に変わる。
人間関係の変化こそが重要な環境になる
確かに、生まれてくる時期や場所、親は選べない。しかし、いつまでもその場所にいるわけではないし、親といつまでも一緒にいるわけではない。普通に考えれば親は先にいなくなる。時代を変えるというタイムスリップはできないが、タイミングを計ることはできる。場所などいくらでも移動できる。職場であれば、転職すればいいだけだ。
能動的でなくても、勝手にそういう環境になっている場合もある。経営者の交代やM&Aや、小さい事でいえば上司が変わっただけでも実は劇的な環境変化になり得る。そして、この人間関係の変化こそが重要な環境になるのである。
時間と場所と人をいい換えると、「時間・空間・人間」という言葉になる。この3つの「間」が環境そのものであり、その「間」をいかに感じられるか、スイッチとしてとらえられるかが、重要になる。
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