遺言書は15歳から書ける
――なぜ、遺言書を書く必要があるんでしょうか?
法定相続分という目安は決まっているんですけど、不動産や有価証券など簡単に分けられないものもあるわけで。相続人全員での話し合い、専門用語でいう「遺産分割協議」をしないといけない。これは全員参加の全員一致じゃないと成立しない協議なので非常にハードルが高い! 家族も知らない隠し子が現れて……なんてことも起こり得るし、連絡先がわからない人はどうしようって場面に出くわすこともある。そんな時に遺言書さえあれば、遺産分割協議をせずに相続を進められるんです。
――とはいえ、遺言書って高齢になってから書くものじゃないんですか?
いいえ、高齢になってからじゃ遅いですよ。人っていつ死ぬかわからないですし、僕は43歳ですけど、すでに書いています。遺言書って、自分が死んだ時のことを想像して、誰にどんな財産や言葉を残したいのかを考えながら書くんです。そこから自分が大切にしている価値観とか、気持ちを伝えたい大切な人が見えてくる。そういう意味では年齢なんて関係ないと思うので、30代40代の若い世代の方もぜひ、遺言書を書いてもらいたいなと思っています!
――ズバリ、何歳くらいから書いたらいいと思いますか?
ちょっと過激に聞こえるかもしれないですけど、「15歳以上になったら書きましょう!」と思っています。法律上、遺言書を書けるのは15歳からって決まっているんですよ。15歳以上なら誰でも書けるんだったら、もう書こうよと。
――実際、10代20代で遺言書を書きたいって人はいるんですか?
残念ながら、まだ聞いたことがないですね。若い世代にどうアプローチしていくかが今後の課題でもあります。死を連想させるからか、一般的に遺言書はネガティブなイメージを持つ方が多いので、「この先を生きていくために必要なポジティブなもの」として認知していきたい。いずれは、中学生や高校生の学校教育として遺言書の授業ができたらいいなと思っています。