遺言書の基本的な書き方
――大切な家族へ書いたことで、遺言書の奥深さに気づいたというはしトモ先生。では、実際に編集・ナカニシ(35歳)も書いてみることに。紙とペンがあれば書けるそうですが、便箋でもコピー用紙でもどんな紙でもいいんですか?
はしトモ 基本的にはなんでも大丈夫です。ただ、「自筆証書遺言書保管制度」といって法務局に預けるサービスを利用する場合は、法務省が配布しているフォーマットを使うと確実ですね。余白何cmとか形式が決まっているので。ペンも基本的には自由ですが、改ざんされる恐れが高いので消せないものを。
ナカニシ 手書きじゃないとダメですか? パソコンで書いたほうがラクなんじゃないかなって(笑)。
はしトモ 本人の手書きであることは必須、データは無効です。下書きとしてパソコンで書くならいいと思います。例外として、遺言書に添付する「財産目録」に関しては、法改正されてワープロ打ちでも大丈夫です。
――文字を書けない人はどうすればいいんですか?
はしトモ 遺言書というのは種類があって、今回書いてもらうのは「自筆証書遺言」という自分が手書きで書く遺言書。もう一つ有名なのは、「公正証書遺言」。こちらは公証人に代筆してもらうので、文字を書けなくても問題ありません。
ナカニシ じゃあ書きますよ! まずは、タイトルに「遺言書」と。誰にいくら渡します? 「妻に現金を相続させる」って書けばいいですか?
はしトモ “妻”だけじゃなく、フルネームで書くことが一般的です。“現金”というのも難しいところで、「財布やタンスに入っている現金」と解釈されてしまうと数千円だけの相続になりうる(笑)。金融資産を全て渡したいなら、「妻●●に全ての現金と預貯金を相続させます」と。有価証券や土地など全てを含むなら「全財産を相続させる」と書いた方がいいです。
――事実婚や同性婚みたいな場合も遺言書って必要ですか?
はしトモ むしろ必要です! 事実婚や同性婚のパートナーは、法的には相続の枠に入っていないんですよ。でも、遺言書があれば相続人じゃない人にも財産を残せる。これを「遺贈」と言います。 この場合、“妻”のような続柄もないので、名前以外の情報を補足して本人だと特定できる必要がある。そのため名前と住所、生年月日を書きますね。