長い時の狭間をつなげてくれる存在は尊い
そして、バブヤングについて入手できた追加情報は下記の通り。
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発売年は1979年で、販売期間は2年程度。
生産量は多めで、アイスには賞味期限がないこともあり、市場にはその後も残っていた可能性あり。
きっかけはガムとアイスを組み合わせた商品を作れないか?というアイデアで、チューインガムのロッテだからこそ挑戦できたもの。
商品は下記の2種類。
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なんと私が4歳のときに発売された商品だった。記憶がおぼろげなのも無理はない。
また、円錐形プラ容器のメロンシャーベットも展開されていたのは、初めて知る事実だった。ロッテによれば発売当初は、各社が毎年20から30もの新製品を投入していた時代で、短命でスクラップになる商品も多かったとのこと。
そんな中、ガムとアイスを同居させるという、今ではおそらく却下されてしまうであろうコンセプトは、生き残りの活路を見出すために絞り出されたアイデアだったと思う。
確実な売上を求めて手堅い商品だけを生産する現代と違い、楽しいものを考え、生み出す寛容な時代だったということを、バブヤングは物語っている。
資料には、アイスの内容を示す画像がなかったので、私の記憶をもとにイラストで補完してみた。
時は絶え間なく流れ、消えて忘れ去られていくものは多い。
そのひとつになりかけたバブヤングだが、極めて前衛的で鮮烈であり、だからこそ、40年以上も私の心に印象強く刻まれていたのだ。
私自身、ものを作る仕事をしているが、売れるものと面白いものは全く違うチャンネルであり、どちらも大切だ。バブヤングのように、長い時の狭間をつなげてくれる存在になった面白いもの……そういうもの作りは尊く、必要だと思う。
そんなことを思い出させてくれたバブヤングと、当時のロッテの企画担当者様に「ありがとう」を伝えたい。
これをきっかけに、復刻してくれないだろうか。
と一言だけ付け足して、私の長い思い出話を締めたいと思う。
取材・文・イラスト/柴山ヒデアキ
協力/株式会社ロッテ