海外でも「まずい」と言われたことがない

お好み焼課にとってもう一つの転機となったのは、08年6月にWood Egg お好み焼館が開館し、情報発信拠点ができたことである。

「それまでは、何かあるとお客さんの元に訪問していましたが、シンボリックな建物ができたことで、お客さんのほうから足を運んでもらえるようになり、社内の意識も変わりました」

G7広島サミットでも存在感。オタフクソースの「お好み焼課」に課せられたミッションとは?_7
Wood Egg お好み焼館の中にはショップもある

その後は、17年4月に野菜焼きそば専門店「vege Love it(ベジラビット)」を本社近くに、18年10月にはお好み焼き体験スタジオ「OKOSTA(オコスタ)」を広島駅にオープンしたほか、一般の人たちに向けたお好み焼き教室を広島と東京で月に何度も開催するようになった。これらの施策を通じて顧客接点を増やし、よりオタフクソースが身近な存在になるよう力を注いだ。

お好み焼課の活動は国内にとどまらない。海外にもお好み焼きの魅力をアピールする。

「今回のG7サミットも大きなチャンスですが、海外からの引き合いが増えています。先月も韓国やドイツから商談の話がありました。お好み焼きはどこでも手に入る材料を使うし、例えば、肉を食べられない国なら、肉を入れなくても成立する“引き算”の食べ物です。あと、鉄板で焼くというのは、世界中どこにでもある調理方法ですよね。広まる素地は十分にあります」

そして何よりも、おいしさが強みになっているという。これまで春名さんは何度も海外でお好み焼きを調理しては食べてもらったが、どの国でも「まずい」と言われた記憶がないそうだ。