生きているだけですごい

そしてそのあと、僕は不思議な現象に遭遇していました。

ある日の晩、いつものコンビニに行こうと思って家を出て、交差点を左に曲がったとき、明らかに誰かに「見られている」のを感じたのです。

僕を見ていたのは、間違いなく神様でした。もちろん姿は見えませんが、僕ははっきりと神様の実在を感じることができたのです。

10年間酒に溺れていたお笑い芸人・チャンス大城がお酒をやめた日。「千原せいじさんから400人のお客さんの前で、『おまえ、酒やめろ!』って本気で怒鳴った」_3
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神様は僕のことを褒めるのでもなく、責めるのでもなく、ただジッっと見ていました。とっさに、僕はこう言っていました。「神様、今日から吸い殻拾いとコンビニのトイレ掃除をしますから、どうか仕事を増やしてください」

神様はこう返事をくれました。「無償の気持ちでやりなさい」

この日以降、僕は本当に吸い殻拾いを始めたのです。そして、コンビニに入った時は、お店の人に黙ってトイレ掃除をすることにしたのです。

そうしたら、自分の心が少しずつ変わっていくのがわかりました。

悪いことしたらあかん。

人を傷つけたらあかん。

みんな、生きてるだけで誰かの役に立ってるんや。

みんな、生きてるだけですごいんや。


イラスト・文/チャンス大城 
チャンス大城氏写真/朝日新聞出版 
その他写真/shutterstock

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僕の心臓は右にある(朝日新聞出版刊)
チャンス大城
10年間酒に溺れていたお笑い芸人・チャンス大城がお酒をやめた日。「千原せいじさんから400人のお客さんの前で、『おまえ、酒やめろ!』って本気で怒鳴った」_4
2022/7/20
1,540円(税込)
304ページ
ISBN:978-4023322592
芸歴30数年の芸人、チャンス大城。本名、大城文章(おおしろ・ふみあき)47歳。長すぎる雌伏のときを超え、今、お茶の間の記憶に残る男としてTV出演急増中。

テクニックに長けたお笑いを魅せる芸人が多いなか、「このひとなんだ!? また見たい!」と思わせる男。彼の常軌を超えた発想と行動はどこから来るのか?「濃ゆい町」尼崎で育ち、東京で生き抜いてきた自らの半生をはじめて語る。

とんでもない人生なのに、読むとなぜか元気になる。笑って泣ける、赤裸々すぎる半生記。
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