10年間酒に溺れていた芸人・チャンス大城がお酒をやめた日。「千原せいじさんから400人のお客さんの前で、『おまえ、酒やめろ!』と本気で怒られた」
TV番組『アメトーーク!』の読書芸人(2023年4月20日放送回)でAマッソの加納がリコメンドし、重版出来となった1冊がある。チャンス大城がその半生を綴った『僕の心臓は右にある』(朝日新聞出版)だ。全てを投げ出しそうになった彼を救った千原兄弟との心温まるエピソードをお届けする。
チャンス大城『僕の心臓は右にある』#3
生きているだけですごい
そしてそのあと、僕は不思議な現象に遭遇していました。
ある日の晩、いつものコンビニに行こうと思って家を出て、交差点を左に曲がったとき、明らかに誰かに「見られている」のを感じたのです。
僕を見ていたのは、間違いなく神様でした。もちろん姿は見えませんが、僕ははっきりと神様の実在を感じることができたのです。
神様は僕のことを褒めるのでもなく、責めるのでもなく、ただジッっと見ていました。とっさに、僕はこう言っていました。「神様、今日から吸い殻拾いとコンビニのトイレ掃除をしますから、どうか仕事を増やしてください」
神様はこう返事をくれました。「無償の気持ちでやりなさい」
この日以降、僕は本当に吸い殻拾いを始めたのです。そして、コンビニに入った時は、お店の人に黙ってトイレ掃除をすることにしたのです。
そうしたら、自分の心が少しずつ変わっていくのがわかりました。
悪いことしたらあかん。
人を傷つけたらあかん。
みんな、生きてるだけで誰かの役に立ってるんや。
みんな、生きてるだけですごいんや。
イラスト・文/チャンス大城
チャンス大城氏写真/朝日新聞出版
その他写真/shutterstock
#1はこちら
#2はこちら
#4はこちら
僕の心臓は右にある(朝日新聞出版刊)
チャンス大城
2022/7/20
1,540円(税込)
304ページ
ISBN:978-4023322592
芸歴30数年の芸人、チャンス大城。本名、大城文章(おおしろ・ふみあき)47歳。長すぎる雌伏のときを超え、今、お茶の間の記憶に残る男としてTV出演急増中。
テクニックに長けたお笑いを魅せる芸人が多いなか、「このひとなんだ!? また見たい!」と思わせる男。彼の常軌を超えた発想と行動はどこから来るのか?「濃ゆい町」尼崎で育ち、東京で生き抜いてきた自らの半生をはじめて語る。
とんでもない人生なのに、読むとなぜか元気になる。笑って泣ける、赤裸々すぎる半生記。