お酒をやめた日
せっかく千原兄弟さんがチャンスを作ってくれたのに、僕は完全にしくじってしまったのです。舞台上で真っ白い顔になっているのがわかります。涙も出てきません。
その後しばらくは、何も手に着かず、ただただ、日雇いの土木作業で汗を流し、なんとか日々を生きていました。
もう自分はダメだ。そう思っていました。でも、SNSのメッセージに、テレビで僕の話を観て「自殺するのをやめた」というメッセージが届きました。涙が出ました。
すると、ただただ、頭の中にせいじさんの「おまえ、その執念忘れんなよ」という言葉がぐるぐるぐるぐる回ります。
そしてその時分、ジュニアさんの弟分の俳優で、長い友達の三浦誠己君にファミレスに呼び出され、「とにかくジュニアさんに電話して事務所に入れてもらえ」と言われました。
次の日、意を決して、決意報告とお詫びと感謝を伝えるためにジュニアさんに電話させてもらいました。
すると、「わかったわかった。ええよええよ。それより来月の『にけつッ!!』出てくれや」と言われました。
涙が止まりませんでした。
僕は本当にダメな人間です。心から反省しました。もう一度だけ、がんばってみようと思いました。
でも、売れてお金持ちになりたいとか、テレビに出てモテるようになりたい、という気持ちはすっかり消えていました。
普通に生活している人、生きている人、ひとりひとり、みんな尊敬する。だから自分は、少しでも人の役に立てるような人間になりたい。芸人としてそれができるならサイコーだ。そう思ってがんばってみようと思いました。
大舞台でも、小さな地下ライブでも、次の登板の機会をいただけるとしたら、大リーグボールを投げられるようにしたい。心からそう思いました。
その日から、お酒は一切飲んでいません。