「お仕事については『色々問題もあって大変ですよ』と
おっしゃってました」
尾本幸祐容疑者の逮捕は、今年2月24日、江戸川区一之江の住宅に侵入、帰宅した派遣社員、山岸正文さん(63)の顔などを刃物で刺し、殺害した疑いによる。
山岸さんは重度の認知症を患う母親(87)と2人暮らしで、尾本容疑者はこの母親も刃物で切りつけたとみられる。事件はこの母親の叫び声に気づいた近所の人の通報で発覚し、警視庁が防犯カメラの分析などの捜査を続けていた。
被害者との面識はなく窃盗目的だったとみられ、同課で動機などを厳しく追及している。
尾本容疑者は特別支援学級の主任を務めており、野球やマラソンが得意なスポーツマンで周囲からも好人物とみられていた。高校時代には野球部で東東京大会に出場していた。
勤務先の中学校の校長は逮捕の報道を受けて記者会見を開き「明朗快活で誰とでも穏やかに会話ができ、担任としても一人ひとりの生徒に配慮した指導をしていた。同僚の教員との人間関係も良好で、問題行動があるとは全く予想していませんでした」と話した。
自宅周辺でも親切で知られており、近隣に住む60代女性も驚きを隠さなかった。
「尾本さんには本当によくしていただいていたので、正直あの方が殺人事件を起こしたなんて信じられません。専業主婦の奥様と息子さんが2人、まだ3歳くらいの娘さんの5人家族で、3日前にお見かけしたときも『上の子が小学校にあがりまして』と笑顔でした。
それだけではなく、雪が降るたびに『子供達も危ないですし、ついでですから』とスコップで雪かきをしてくれました。大雨が降っても『大丈夫ですか?』と心配してくれるような方でしたから、凶悪犯とはどうしても結びつきません」
尾本容疑者の前任地は伊豆諸島の一つである式根島(東京都新島村)で、単身赴任だったようだ。
女性が続ける。
「5年ほど前だったと思いますが『離島に単身赴任することになりました。しばらく家をあけると思いますが、よろしくお願いします』とご挨拶されて、戻ってこられたときにはお土産まで買ってきていただきました。もともと尾本さんのご両親も近くに住んでいてよく来られていたので、単身赴任中はご両親がサポートされていたんだと思います。
中学の教員というお仕事については『色々問題もあって大変ですよ』とおっしゃってましたが、子煩悩で優しい方という印象しかありません。移動手段はいつも自転車だし、近くで見かけるときもお子さんたちと公園で遊んでたり、ファミレスでご家族で食事していたり、ショッピングモールでお買い物してたりというごく普通の生活でした。お金遣いが荒いとも、お金に困っているようにも全く見えませんでしたね」