日本酒用の酵母を使った「CIDRE RonRon Prototype きょうかい酵母清酒用1801号」
こちらも酒蔵が造ったシードル。「播州一献」を醸す兵庫県の山陽盃酒造による、清酒酵母を使ったチャレンジングな1本です。創業185年の老舗がシードル造りを始めたのは、社屋の火災がきっかけだったのだとか。敷地の半分が焼失するなか、地域の人に支えられたことから、「地元に恩返しをしよう」「兵庫県の多様性を広めよう」と県産のりんごを使ったシードルを開発することになったそう。兵庫県にりんごのイメージがなかったので新鮮ですね。
シードル造り2年目となる昨年に、他県産のりんごを使い、かつ、日本酒造りに用いる酵母「きょうかい1801」を使って限定販売されたのが「CIDRE RonRon Prototype きょうかい酵母清酒用1801号」。清酒に使う際にはパイナップルのような香りと表現される酵母で、「どんな香りや味わいになるのだろう」という造り手の好奇心もあってうまれた実験的なシードルです。
飲んでみると……パイナップルのようではありませんが、明らかに華やかな香りがあります! 少し赤みがかったにごり酒のようで、色もチャーミング。粘性を感じるとろりとした飲み口で、まるでりんごや白桃をぎゅっと絞ったジュースのよう。炭酸があるのでベタっとした甘さではありませんが、 今回ご紹介する3本のなかでもいちばんしっかりした甘さがあります。お酒があまり得意でない人や、食中はもちろん食後のデザート代わりに飲むのもおすすめ。
CIDRE RonRon Prototypeをチェック!
今回は、アルコール度数が低く軽やか、ポリフェノールやビタミンも含まれていてヘルシー、お値段も比較的手頃と、うち飲みの強~い味方としかいいようがない(!?)シードルにフォーカスしました。ワインと同じく、産地や造り手の個性が感じられて、いろいろと試してみたくなりますね。
それぞれ個性があって魅力的なので選び難すぎますが、 今回の「ベストうち飲み賞」はピュアな果実味×旨味の“二刀流”が味わえる「セイズファーム シードル 2019」にしたいと思います。
りんごはもともと日本人に親しみのあるフルーツ。何より飲みやすいですし、デイリーに楽しむお酒としてのポテンシャルは充分。うち飲み派の皆さま、ぜひ今年はシードルに注目してみてはいかがでしょう?
【うち飲み向上委員会メンバー】
門前直子(もんぜん なおこ)
食べること&飲むことが大好きなフリーランスエディター/ライター。エンゲル係数がやたら高いものの、日々見て見ぬ振り。昨年セレクトショップ「ガリャルダガランテ」からスタートしたライフスタイルライン「カーサ ガリャルダガランテ」でも、月替りのお酒(ワインのほか、日本酒やシードルなども)とフードのセレクトを担当。
https://www.instagram.com/gkgkmgmg/?hl=ja
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