ホストにとって売上を増やすには売掛が手っ取り早い

前出のライターの内村あきこ氏も言う。

「客の女性たちもこの売掛制度に慣れてしまい、『稼いでから飲む』から『飲んでから稼ぐ』と考える方が増えてきている印象です。
売掛があるから、パパ活や風俗で好きでもないおじさんたちに抱かれることを受け入れるような状況で、それだとなんのためにホストクラブに行っているのか、わかりませんよね……」

「僕が現役だった時代のホストは、しっかりとお客様をエスコートして、自分を認めてもらってお金を使ってもらっていた。それが今は大きく変化している」と、ゆうは氏は言う。

「今はホストのアイドル化が顕著。お客様は推しアイドルのためにグッズを買う感覚で、お酒を入れて売上ランキングの上位に入れるように応援したり、支える傾向が強い。
ホストだって売れたい、有名になりたい、人生を一発逆転したい、と思っていますから、そのためには売掛で売上を増やすのが一番手っ取り早いんです。

ある店では支払いの50%が売掛などを含めて入金されれば、全額がそのホストの売上として反映される。例えば、500万円の支払いのうち、250万円がお客様から入金されれば、500万円売り上げたことになります」

前出の内村氏もこれに付け加えるように解説する。

「見込みでも売上が増えれば“1億円プレーヤー”の道も近づくし、そうなればラッピングカー(繁華街を爆音で音楽を流しながら走る広告トラック)などの広告メディアに大々的に『1億円プレイヤー』と謳えて知名度も上がる。ホストにとっても売掛はメリットが大きいんです」

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繁華街に溢れるホストクラブの看板

さらに、売掛に前のめりなのは現場のホストだけではないという。

「店の代表や取締役、幹部といった運営側も、プレイヤーの売上が増加すれば自身の給料も上がる。だから利益優先でホストたちの虚栄心を煽って、売掛にどんどん突入させる店もあるんです」(ゆうは氏)