「恋の沖(おきの)えらぶの巻」(ジャンプ・コミックス第50巻収録)

今回は、南国の島を舞台に、両さんと若く美しい代理教師とのひとときの交流を描いたお話をお届けする。

本作の舞台は、鹿児島市から南へはるか552kmの、奄美群島南西部に位置する沖永良部(おきのえらぶ)島。

「週刊少年ジャンプ」で実施した「第1回・こち亀にオレを出せ!!コンテスト」に投稿した『こち亀』読者・前健一(すすめ・けんいち)くんが「秋本治賞」に入賞し、その結果、彼と彼が住む沖永良部が作中に登場することに相成った。

ちなみに、両さんのように鹿児島空港から沖永良部空港へと飛行機で渡ると、所要時間は1時間半ほど。現在は沖縄の那覇空港からも便が出ており、こちらは約1時間で着くようだ。

そして両さんは、沖永良部から少し離れた小さな島で、小学校の教師を務める大学院生・西島ゆりこと出会う。

隆起サンゴ礁の島での美しいマドンナとの交流、マドンナが抱える恋の悩み、両さんが彼女に勇気を与え、そして別れのときを迎える……といった展開は、両さんと並んで葛飾区のヒーローである車寅次郎が主人公の映画「男はつらいよ」シリーズのようだ。

読者を作中に登場させ、ご当地もの、旅ものの体裁も取りつつも、週刊連載一話分のページ数でえもいわれぬ余韻を残す……実にみごとな、読み応えたっぷりの一編だ。

それでは次のページから、どこか映画を思わせる異色の一編をお楽しみください!!