各界の「一番面白い人」が審査
――死蔵データGPの見どころは?
海野 YouTubeで公開している審査番組はぜひ見ていただきたいです。予選では254件の応募データを24ブロックにわけ、ブロックごとに3人の審査員に一つひとつの死蔵データにコメントを書いて点数をつけてもらいました。それを発表するYouTube番組を公開しています。
宍倉 死蔵データって、目的から外れたデータだから何がいいのか言語化できないんですよね。それを審査してるから、変なんですよ。
海野 例えば、Aブロックでは、とがったエッセー漫画を描いているナクヤムパンリエッタさん、劇作家のカゲヤマ気象台さん、キュレーターの檜山真有さんと、本来なら同じものを審査するわけがない3人が「マジでいらない」死蔵データについて真剣に論じている。
大山日歩(以下、大山) ナクヤムさんの審査は視聴者からもよく言及されますね。印象的で面白かったみたいです。
海野 2022年のカタ岸メンバーが考える一番おもろい人たちに審査員として集まってもらって、本来点数のつけられない死蔵データに点数をつけてもらってます。
荒渡 「スーパーロボット大戦」状態。
一同 その例えはスマブラでいいだろ(笑)。
――審査員はどのように決めたんですか?
荒渡 ブレスト会議をして候補者を挙げまくって、年齢や職業、専門性がバラけるように依頼しました。大事なのはこの面白さを理解してくれそうな人という……。
海野 ほとんどの人が快諾してくれてうれしかったですね。
荒渡 難しすぎて審査できるわけがない、と断られてしまったこともありますが(笑)。
――印象に残っている審査は?
海野 劇作家で演出家の山本卓卓さんのコメントはすごかった。完成度がヤバいです。
みずしまゆめ(以下、みずしま) あれは劇作家じゃないと書けない文章ですね。あのコメントを書く人の劇が面白くないわけないと思って劇も見に行ってしまいました。
海野 そう言って見に行った人を他にもふたり知ってるよ(笑)。
大山 個性的な審査で思い出すのは、批評家の黒嵜想(くろさきそう)さん。審査しながら別のストーリーをつくり上げていて……。
海野 10本分の審査コメントを通してまるでひとつの小説になっていた。アクロバティックないい審査でした。