「TOKYO ART BOOK FAIR」(以下、TABF)は個人からグループ、ギャラリー、出版社、印刷会社までの出展者の幅広さが特徴で、今年は約200組が参加した。
このフェアの大きな魅力は、作り手との交流だ。制作者に話を聞きながら多様な表現に触れられる機会は、日常ではそう多くない。
今回、国内外のマニアックな雑誌に特化したオンラインストアを営む筆者がTABFへ足を運んだ。
複数のセクションの中で、毎年未知の才能が眠っている「ZINE’S MATE AREA」(旧Z SECTION)をまわり、70組の出展者から特に面白いと感じた作り手6組とその作品をピックアップした。
<俳句ジョージ>
独特なリズムの五・七・五が魅力
「俳句」と冠しているものの日本人がイメージする「五・七・五」とも少し違うような独特なリズムで表現される、ジョージ・ネルソンさんの俳句集に惹かれた。
ニュージーランド出身のジョージさんは、7年前に留学のため東京へ。「授業がつまらなくて、授業中にヒップホップの歌詞を書こうとしたらダサくなっちゃって。それなら『五・七・五』にすればいいんじゃないと思った」とジョージさん。
「星多い 夢もいっぱい がんばろう」という一句を詠んだことから活動が始まった。
以来、ずっと「五・七・五」で自身の心を表現しているのだという。俳句に添えられる線画のイラストレーションと、あえて手書きの文字を印刷しているのもいい。
「元カノの影響」だという関西弁を時折交えながらのプレゼンテーションはユニークでぐんぐん引き込まれてしまう。イベントなどにも積極的に出展しているようなので、ぜひ本人に直接会って多くの方に魅力を感じてほしい。