バブル崩壊後、何が起こるのか?

――だが、実際には米国経済は盤石ではないと。

「米国バブル崩壊」で進む世界金融大再編。ついに「デジタル通貨」創設で暗号資産は淘汰される⁉_2
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そのとおりです。リーマン・ショックのときにすでに米国経済は実質的に終わっていたからです。それをFRBが誤魔化し誤魔化しして、ここまで来てしまった。

紙幅の関係で詳細は拙著に譲りますが、実は米国は逃げられないところまで輪転機を回していて、すでににっちもさっちもいかない状態に追い込まれているのです。ですから、どこかでガラガラポンをしなければ、米国経済は持ち堪えられないのです。そこで仕組まれたのが、最大にして最後の米国株バブルの生成と崩壊、そして自らが主導する国際金融の大再編と新通貨体制の立ち上げなのです。

米国株がバブルのピークを付けるのは、2024年11月の米国大統領選挙の前後となるでしょう。そこまでは最後のバブルを必死になってつくっていき、最後は自国通貨であるドルに価値を見出せなくなって梯子を外す。これしか、米国に残された道はありません。

そして、バブル崩壊を教えてくれているのがゴールド相場の動きです。2023年3月末時点で、安全資産としてのゴールド(NY先物)は1トロイオンス=2000ドルまで上昇しています。2000ドル超えはウクライナ危機勃発後の2022年4月以来約11カ月ぶりのことでした。

ゴールドのウイークポイントは金利が付かないことです。ですから、昨年来の利上げはゴールドには大変なアゲンストでしたが、ここにきて再び2000ドル超えを達成してきたのは、投資マネーがゴールドに逃避する姿勢を強めていることを如実に示しています。

――米国のバブルが崩壊した後、具体的には何が起こるのでしょうか?

2025年に始まるであろう米国のバブル崩壊により、とんでもない数の企業が潰れて、銀行も次々と倒れていくでしょう。米国のバブル崩壊に伴って進むのが金融大再編です。たとえば今回、クレディスイスがUBSに吸収されたのは、その前哨戦のようなものとご理解していただければよいでしょう。大手、中堅、地方でさまざまな形で潰し合い、合従連衡が昂進していくのです。

私の見立てでは、金融大再編により、FTX、暗号資産なども破綻の憂き目を免れないと思います。それをテコにして、FRBはデジタル通貨体制を立ち上げたいからです。ただ、FRB単独では難しいでしょう。FRBはずっと「暗号資産は危険だ」と警告を発し続けていました。中央銀行の信用力と経済規模というバックグランドがなければ、デジタル通貨の発行など絵に描いた餅に過ぎない。FRBとしてはそんな心持ちだったに違いありません。

そして、さらに大きな視点で金融大再編を論じるならば、世界の中央銀行がタッグを組んで、デジタル通貨を創設するのでしょう。おそらく今夏あたりにその構想が出来上がってきます。最速で進めば、今年10月に開催されるIMF年次総会で、国際通貨体制を「金本位制」に戻す話が取り沙汰されるかもしれません。

♯4に続く

写真/shutterstock

♯4 2025年、世界経済崩壊で株相場は10分の1まで下落⁉ 生き残るために持っておくべき「資産」とは? に続く

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敏腕トレーダーが占う2023年「米国発世界的株高」からの2024年金融大暴落“悪夢のシナリオ”はこちら

金融暴落! グレートリセットに備えよ
岩永憲治
「米国バブル崩壊」で進む世界金融大再編。ついに「デジタル通貨」創設で暗号資産は淘汰される⁉_3
2023年3月24日発売
1,870円(税込)
四六判/288ページ
ISBN:978-4-08-786139-6
もうすぐリーマン・ショック級の金融危機が起きる!?元敏腕トレーダーが近未来の経済危機を予測し、潮目の見方を指南!

リーマン・ショックから15年。コロナ禍やウクライナ戦争で世界の情勢も変わり、それまでのグローバル経済は立ち行かなくなった。最大の問題は世界的なインフレが止まらないこと!世界中にお金があふれ、生産地と消費地の間のいたるところでボトルネックが発生した結果だ。2022年からアメリカは金融を正常化しようとして急速な金利の引き上げを行っているが、その体制下で新たな金融危機が起こる可能性が飛躍的に高まっている。(2023年3月半ばにも、アメリカではIT系の投資に積極的だった3つの銀行が破綻し、米国財務省の即断の政策により金融危機が未然に防がれた。)
そんな予断を許さない情勢のなか【次なる史上最大の金融危機が2024年末前後に起こるであろう】と予測する。既に経済不況に突入したという意見もあるが、リーマン・ショック後の為替変動をいち早く予想した著者は、もう一度バブルの最後の吹き上げが起こり、2024年の大統領選の終わるころには米国経済においては株価が上がって景気も良くなったというユーフォリア状態に陥るという。そして誰もが予測もしなかった状況で反転し、最終的には1929年の大恐慌やリーマン・ショックを超える危機が来ると言う。
その兆候はいつ、どんな形で現れるのか?過去のバブルとその崩壊の歴史を紐解きつつ、トレーダー時代に培った「潮目の読み方」を披露する。
自衛隊での訓練経験を持ち、外資系金融機関で様々なキャリアを経た著者は、独自の情報収集力に優れ、危機管理意識も卓越している。そんな著者が日本人の誰もがこれからの困難な時代に自分の金融資産を守り生き抜くために是非とも読んでほしいと、渾身の思いで書いたデビュー作である。
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