もはやインボイスはインパール作戦の様相

なぜここまで国税庁が問題を無視するのかは筆者も理解に苦しむが、これまでの杜撰な経緯を踏まえると、インボイス制度はすでに第二次世界大戦時のインパール作戦のようにとにかく問題を無視して突き進むしかないほどの泥沼に陥っている可能性がある。

ちなみに、国民の個人情報流出によるリスク(廃業、ストーカー被害)を放置する一方、10日後(2月13日)に行われた超党派ヒアリングで実に印象的な出来事があった。

この超党派ヒアリングでは税理士、声優、農家など様々な当事者たちがリスクを背負って実名・顔出しで参加してきたが、この回から突如として個人情報保護を理由に官僚側(財務省・国税庁・公正取引委員会 等)だけは撮影NG・匿名に変更したのだ。

「インボイス制度導入による“本名バレ”は芸名で活動する声優・俳優には致命的」日本俳優連合事務局の指摘にダンマリを続ける国税庁の愚_4
超党派ヒアリング(昨年12月8日)で回答する官僚(左:財務省 主税局 税制第二課 企画調整室長 染谷浩史氏、右:国税庁 課税部 軽減税率・インボイス制度対応室長 福田あづさ氏)。 ※官僚側の撮影がNG・匿名となった今年2月13日以前に撮影
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直後にその変更点を伝えた筆者のツイートには、国民から官僚に対する怒りの声が数多く寄せられ、一般国民との認識のズレが改めて浮き彫りとなった。すでに担当者は姿を隠して逃げ切る姿勢を見せており、本格的にインパール作戦の様相を呈してきているといえる。




文・撮影/犬飼淳