インボイス導入の根拠はない
6月17日に公開した「インボイス制度導入で「あの漫画家の本名がバレる」は本当か?」では、ペンネームや芸名で活動するクリエーター(漫画家・作家・アーティスト・俳優 等)の本名がバレて、最悪の場合、廃業に追い込まれる可能性があることをお伝えした。
このほか、実質的増税による収入減少、取引機会の喪失、無駄な事務処理の増加など、一般国民が多大な不利益を被るインボイスは百害あって一利なしの制度と言っても過言ではない。
*インボイス制度の問題点をさらに詳しく知りたい場合は「STOP! インボイス」ウェブサイト 参照
「とはいえ、政府が導入を進めるからには それなりの理由があるのでは?」と考える読者もいるだろう。それでは、国会でインボイス導入の根拠を問われた際、政府はどのように答えているのかを確認してみよう。
*今回紹介する2つの国会答弁のダイジェストは上記YouTube動画で視聴可能。動画を再生できない場合、筆者のYouTubeチャンネル「犬飼淳 / Jun Inukai」で視聴可能。動画タイトルは「インボイス導入の根拠はない」
【共産党・山添拓 議員】インボイスを導入しても良いことはひとつも無いわけですね。(中略)財務大臣に伺いますが、ひとつひとつの取引にインボイスを発行し、膨大な事務負担を求める必要など無いのではありませんか。
【自民党・鈴木俊一 財務大臣】私どもと致しましては、複数税率のもとでインボイス制度は必要不可欠であると考えます。
出典:2022年3月17日 参議院予算委員会
日本で消費税が10%に引き上げられ、軽減税率8%との複数税率が始まったのは2019年10月。それから3年近くが経過したが、制度変更を必要とするほどの大問題が起きていると聞いたことはない。
それにもかかわらず、鈴木財務大臣が「複数税率のもとでインボイス制度は必要不可欠」とまで言い切るのはなぜだろうか? 例えば複数税率を原因とする不正や不都合が起きて、現状では適正な課税ができない事態に陥っているのだろうか?
これについては、以下の2つの国会答弁を振り返ると答えは自ずと見えてくる。