ちょっとダサくてオタクっぽく見える
アノラックをこよなく愛する理由
続きまして、ふたつ目の“My春アイテム”は、エレッセのナイロン製アノラックだ。
これは数ヶ月前、御殿場のアウトレットモール内のエレッセショップで、セール品として叩き売られているところを発見し、「おお、良い感じにダサくて最高!(エレッセさん、すみません)春になったら着よう」と思って買った一品である。
僕は頭からかぶって着るタイプのアウトドアウェアである、このアノラックという服が好きでいくつも持っているが、このたびコレクションにこちらを追加することになった。
アノラック好きになったのは、その昔(1980年代末〜1990年代初め頃)、ザ・パステルズやヴァセリンズ、BMXバンディッツといったスコットランド・グラスゴー出身のインディー系ロックバンドのファンになったからだ。
ネオアコやギターポップにも分類される彼らのサウンドは、ポップだけどどこか腑抜けて人を食ったような感じがするのが特徴。
そんな彼らは、グラスゴーという寒い土地を本拠地としていたことと、音楽に服装は関係ないんだという姿勢を示すため、肩の力が抜けたゆるいファッションを好んだ。
ロックファッションとは縁遠そうなアノラックを着て登場することも多かったため、メディアは彼らに“アノラックサウンド”という呼称を与えたのである。
彼らや彼らのファンたちが、たとえばパンクスやモッズ、マッドチェスターのような、同一傾向のスタイルを好む大規模なトライブ(族)を形成したわけではないが、僕はアノラックを着ると、当時の彼らの心意気を感じられるような気がして、楽しくなってくる。
アノラックというアイテムは、残念ながら誰がどう着てもあまりカッコよくは決まらず、どこかちょっとダサくてオタクっぽい雰囲気を醸し出してしまう。
そこがまた良いんだけど、わかるかなー、わかんねえよなー。
いや、いいのだ、一部のマニアックな人だけに……(以下略)。