“ガレージブランド”的存在だったアークテリクス

コロナ禍となって盛況を見せているのが、アウトドア市場だ。キャンプシーンは特に顕著で、週末ともなればキャンプ場の予約が取れないなんてことも珍しくない。

そのためキャンパーたちの多くは、他の人とは違ったアイテムを探し求め、自身のテントサイトを個性的に彩る。それが今日の“ガレージブランド”の隆盛へと繋がっており、いまや大小様々なブランドが個性豊かなアイテムをリリースし、凌ぎを削っている。

国内新店舗を次々にオープン。30年間ずっと革新的であり続けるアウトドアブランド「アークテリクス」の現在地_1
カナダにあるアークテリクスのオフィス(写真提供/アメア スポーツ ジャパン)
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1990年代後半のアークテリクスは、まさに現代のキャンプシーンにおける、自由な発想から革新的なアイテム開発を見せるガレージブランドと重なるところがあるように感じる。というのも、90年代のストリートファッションブームのさなか、パタゴニアはヒット作を連発。ひとつの円熟期を迎えており、他方でザ・ノース・フェイスもまたファッションピースとして不動の地位を築いた。

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アークテリクスが開発した初期のオリジナルハーネス「Vapor Harness」(写真提供/アメア スポーツ ジャパン)

1989年に誕生したアークテリクスは、元を辿ればクライミングハーネス作りを出自とするコテコテのアウトドアギアブランド。しかも、当時の主役だったアメリカンブランドではなく「カナダ発」というところも見逃せない。

しかし、イノベーターとしての顔はブランド発足時から明らかで、熱を使ったラミネート加工など革新的な手法を用いたアイテムが当初から高い評価を得ていた。そもそも「始祖鳥(しそちょう)」を表す挑戦的なロゴマークとブランド名も、自身のモノづくりに対する絶対の自信の表れといえる。

その実力と評価をそのままに、アークテリクスは、90年代後半のアウトドアシーンの主役へと一気に駆け上がっていったのだ。

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ブランドロゴには最古の鳥類・始祖鳥が採用されている(写真提供/アメア スポーツ ジャパン)