100人のクラブの中で80人がコロナに感染

——支援員は、子どもを守るプロではないのか? 

現在、支援員がまともに育たなくて、プロとしてやれている方が圧倒的に少ない。実は、支援員は講習を受ければ誰でもなれます。昔は質の高い支援員がたくさんいました。でも今は賃金が安い。年収で200万円以下、150万円くらいの支援員が多い。そうなると、離職率も半端ない。今やパートタイマーの方が大半です。本業の方が圧倒的に少ない。
そうなると、人出不足で誰でもいいからどんどん雇う。もちろん人によっては親身になり熱心な指導員もいます。ですがほとんどの職員は何も考えてないです。その日1日が平和に終わればいいと思っています。子どもを預ける母親の皆さんが、どんなことで困っているかも理解していない。

——世のお母さんたちが困っていることは何ですか?

やっぱりお金を払って、安心して仕事がしたいわけです。家に帰ってからの負担を少しでも軽減したいはずです。それなのに狭い教室で、もうギュウギュウ詰めのとこに自分の子が行って、家に帰ってくると『もう学童行きたくない』と文句を言う。それはそうなります。
コロナ禍で、去年の夏までは大クラスター状態でした。学童保育室で三密になっていて、100人中で80人がコロナに感染していることもざらにあったわけですよ。
学童ではそんなストレスフルな状態だから、トラブルが絶えないわけですよね。でも、子ども同士のトラブルに対して、『じゃあお母さん、あとよろしくお願いします』と学童の支援員は丸投げするわけなので。母親は後のトラブル処理もしなきゃいけないし、大変です。

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——今、学童や支援員に求められることは何?

やっぱり現場を長く見ていて思うのは、国とか行政が、放課後支援員にどれだけの教育をしっかりさせるか。そこが求められています。
支援員の研修も、昔は自治体が行っていました。今は指導を担当する業者が入札で決まる。
研修の質もかなり落ちています。地方都市では、民間学童は高額(月に3万~7万円)ということもあって、公設が主体です。

——現在の学童の実態に対して思うことは?

民間は値段が高いから公設の学童にお願いしながら、親御さんたちは働いています。
大抵のお母さんは、すごくストレスフルです。午後6時や6時半に児童のお迎えがあると、職場を5時台に出ないといけない。皆さん、近くで働いているわけではありません。
仕事だけでも忙しいのに、学童で子どもが『今日は何々くんにこういうことを言われてすごく嫌だった』と、グズグズ言えば、もうカっと頭に血がのぼるわけですよ。
そこは放課後支援員として、『ここにいる時間は安心してください』と担保してあげるのが私たちの仕事じゃないですかっていうのが、現場にいて思うことです。

支援員さんたちに言いたいのは、あなたたちの仕事はなんですか、ということです。子どもをただハコに入れてお母さんにお渡しする仕事じゃないのです。今の学童は、子どもにも保護者にも誰にも寄り添っていないシステムになってしまっています。放課後児童対策を国なり、自治体なり、みんなで考えないと、もう無理だと感じています。


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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班