支援員が絶句した小学生から出た言葉とは…
——思考停止?
子どもたちは学童が楽しいとか、楽しくないとか、行きたくないとか、考えちゃったら終わりだと感じています。以前、学童を卒業した、5、6年生になった子供が言った言葉が衝撃でした。
『楽しくないとか考えたら、俺詰むから』『詰むから考えなかった。だって行かなきゃいけないし』
と言ったんですよ。子供たちのほうで何も考えないようにしちゃう。お父さんお母さんが働いているのを待つしかないっていう場所が学童になっている。もう子供たちが完全に思考停止状態に陥って、自分の力で何か遊びを考え出したりするような余白はあそこにはありません。
——支援員は何もしないのですか?
見ているだけだったり、気づかない人が多いですね。子どもの発達段階も理解してなければ、今この子たちに必要なものが何なのかもわからない。異なる学年の子どもたちが集まるので、ケンカもたくさんあります。学童の職員は、なぜ子ども同士のケンカが起こったかも理解していない場合が多い。学校での人間関係が原因のこともあれば、家庭で何か問題やストレスを抱えてイライラすることもあります。だから、本当はそれらをひとつひとつ掘り下げてあげないといけない仕事なんです。
でも、学童の支援員は、ケンカした児童をただ叱りつけて終わることもよくある。支援員に不適切な関わり方をされて、子供たちは不満を抱えて家へ帰る。学童が面白いと思えなくなる。それでも、子どもたちは明日、学童に行かなければならないので、ますます何も考えなくなってゆく。
——学童に通う子どもたちが思考停止しているのは何が問題の根本にあるのでしょうか?
学童側に問題があるとしたら、やはり放課後支援員の質です。支援員に子どもを遊ばせる能力がない。子どもたちを健全に育成するっていう能力に欠けています。子どもたちの放課後って何かっていうと、私たち大人で言う会社が終わった時間です。飲みに行ったりする時間。別に決して残業時間じゃない。
居場所として遊びに来ているのに遊んでないのです。だから私はたくさん遊ばせる。でも、今の支援員はとにかく怪我なく安全にという部分だけを見て、すごく指導的な立場になってしまっています。
——指導的な立場とは?
例えば、ひどい学童だとおじいちゃん、おばあちゃんの支援員が、子どもは大人に従うものだっていう感じで、正座をして遊びなさいとか平気で言う。刑務所かと思ってしまう。正座していないと怒鳴られる場合まである。そうすると児童のストレスがすごく溜まる。
あと、トイレに行きたかったら先生に言いなさいとか、何もかも先生が決めるわけです。どこで遊ぶか、何をするか。子どもが主体的に何かを決めるっていう機会を与えなかったりします。
——たしかに「正座して遊びなさい」とはひどい扱いですね。生徒のトイレの回数まで学童の支援員が管理しているとも聞きます。
学校施設を借りているからです。学校のトイレ借りているから、あんまり使わないで欲しいという学童の支援員の思いがある。例えばトイレを汚したり、トイレに行く途中で子どもが学校の先生に迷惑かけたら、学童の支援員が学校側に怒られてしまう。だからできるだけトイレに行かないでほしいとの思いがある。学校施設で学童を運営することが健全なのか、という問題がそういった場面に出てくるわけです。