「ほぼしゃべったこともないのに告白して撃沈」恋愛偏差値が低い東大生
男女比4:1といういびつなキャンパスを、さらに変わった空間にしているのが、男子校、女子校出身者がやたらと多い事実だ。
例年、東大合格者の高校別ランキングの上位には、男子校では「開成」「灘」「麻布」、女子校では「桜蔭」「女子学院」などの別学がずらりと並ぶ。
何を隠そう、筆者も東京都内の中高一貫の女子校出身で、多感な中高6年間でまともに会話をした男性は、家族や先生を除くと、おそらく10人もいない。そんな恋愛偏差値の低い人たちが急に男女一緒のキャンパスで過ごしても、なかなか交際へと発展させられないのは自明のことだ。
恋愛偏差値の低さを学力偏差値で補おうとするのか、社会学を専攻する学生は本気で「一緒に美術館に行って、文化資本(芸術など文化的素養に関する資本)を高めませんか」とデートに誘ったりする。
また、統計を学ぶ男子学生が「女子ってロマンチックなシチュエーションが好きだから、夜景を見ながら告白したい」と言えば、「ロマンチックなシチュエーションで告白した場合と、そうでない場合で有意差(偶然ではなく、意味のある差)はあるの?」なんて答えが返ってきたりもする。
ある東大男子は「ある程度仲良くなってから告白するという文化を知らず、ほとんどしゃべったこともないのに告白して撃沈した」と話し、ある東大女子は「“メアドを聞く=ナンパ”だと思っていたので、クラスの男子からメアドを聞かれて、ちゃらい男子だと警戒した」なんて思い出話を語る。
そんな学生が東大にはゴロゴロいるのだ。
上記のことから「東大女子は警戒心が強い」と思う人もいるかもしれないが、ひと足先に大学生活を送り、洗練されているように見える先輩男子にコロっといくケースも多い。
東大では4月の入学直後に、クラスごとに2年生が1年生に時間割の組み方やバイト、サークルなど大学生活のイロハを教える習慣がある。コロナ禍でしばらく中止されていたが、4月上旬には、2年生と1年生が合同で交流する合宿もある。
私の友人の東大女子A子(女子校出身)は1年時の合宿直後に2男(2年生男子)と付き合い始めたが、半年も経たずに別れている。
「時間割の組み方やサークルの選び方とかなんでも教えてくれて、お酒も飲めてかっこいい!と思ってうっかり恋に落ちたけど、今思うと相手は“1女”(1年生女子)狙いで、私も“2男マジック”に引っかかっただけだった。偏差値75の大学に入学したけど、恋愛偏差値は35だったなあ……」
そう言って笑っていたA子が印象的だった。
とはいえ、A子も私も今となっては、慣れない共学での慣れない恋愛は、笑い話にできるいい思い出だ。ちょっと風変わりな大学だけど、コロナ以前の日常に戻れそうなこの春、新入生には思い切りキャンパスライフを楽しんでほしい。
合格、おめでとう。
取材・文/津田沼うめ子
集英社オンライン編集部ニュース班