「声かけ」原則① お母さんから積極的に働きかける
子どもとの日々の会話も、お互いに声をかけるわけですから、広義の声かけだと言えます。「9歳までに子どもとの信頼関係を築くことが大切」だとお話ししましたが、毎日できるだけたくさんの会話を積み重ねることによって、親子の信頼関係を築くことができます。
日常会話は、子どもが話しかけてくるのを待つのではなく、お母さんから子どもに積極的に働きかけましょう。子どもは経験値が少なく、話すための言葉も少ないため、うまく話しかけることは難しいです。子どもからの話を待っていると、親子の会話が減ってしまいます。だから、お母さんからどんどん話しかけて、子どもの耳にたくさんの言葉を入れるのです。そのことによって、子どもの語彙力がぐんと増えます。子どもは話せば話すほど、脳が発達します。
■話す内容や言葉はよく選ぶ
話す内容は同じようなものばかりではなく、子どもの視野を広げるためにも、いろいろな内容の話を振ってあげることが大切です。テレビ番組を観たり、新聞、雑誌、書籍などを読んだりして感じたことを、子どもに伝えるといいですね。
自分がどう思ったかを伝えると、子どもは「お母さんは、こんなときにこう思うんだ」と、お母さんの考え方がわかります。
また、子どもに話しかけるときに、話した内容についての感想を聞くのもいいでしょう。このとき、「はい」「いいえ」で答えられるような質問ではなく、「どう思った?」「何が一番楽しかった?」など、子どもが自分の頭で考えて、自分の言葉で答えられる質問にしましょう。このような会話が思考力、表現力の基礎を鍛えることになるのです。
一方で、悪口や愚痴は子どもに聞かせないようにしましょう。子どもは大人になってもお母さんから聞いた言葉をいつまでも、覚えているものです。それに、子どもは無意識のうちに、お母さんが使う言葉や話し方などを真似します。私が高校の教員をしていたときに、生徒とその子のお母さんの口癖がまったく同じだったことに驚いたことがあります。
だから、子どもに声をかけるときには、正しい日本語を常に意識して、子どもにかける言葉をよく考えてほしいですね。