「自分がここまでこの国を愛しているとは思わなかった」と若い女性は言った。戦禍を伝える日本人ジャーナリストがウクライナで感じた国民の意識の変化とは_3
佐藤和孝氏
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「明らかにロシアに非がある。初めてのケースだ」

――情報を届ける際、意識していることは?

事実を伝えること。兵士たちのプロパガンダを伝えるつもりはまったくないが、彼らがどんな思いを持って生きているのかは伝えたい。

40年以上紛争地帯を見ているが、必ず対立している双方を取材するようにしている。私はどちらからも話を聞き、どちらかが悪いと思ったことはなかった。

しかし、今回ばかりは明らかにロシアに非がある。初めてのケースだ。

――紛争地での取材を続ける原動力になっているものは?

ふざけるなという怒りだ。人々の生活を根底から破壊する争いなんて許されるわけがない。不条理と不正義に強い憤りを感じる。だから続けてこられたのかもしれない。

多くの人に伝えることで、事実を知ってもらい、その問題について考えてもらいたいという思いがある。

――インタビュー後編では、ウクライナの暮らしの現状などについて聞く。

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取材・文/高山かおり
写真提供/佐藤和孝(ジャパンプレス)