私は大きく3つのことを言いたいと思っています。本(『非戦の安全保障論』)にも表れていると思いますが。いま3人の話(第1~3回)をお聞きいただいたように、今回の本は、みんな勝手なことをばらばらな視点から言っている。ただ読んでみると、それが結構面白いなという気がしています。
私が申し上げたいのは、特にこのウクライナ戦争が始まって、そしてその後、ナンシー・ペロシの台湾訪問を契機にして、中国のミサイル演習のようなことがあり、そしてまた北朝鮮がミサイルをどんどん撃っているという中で、また昨日(10月13日)、国会の連合審査会があって、衆議院で敵基地攻撃能力の議論があったようですが、どうもそんなふうに議論が引っ張られていっちゃうと、これは何かすごくおかしい。
すごく肝腎なことを忘れているなという思いがあって、そういう観点から三点、主に申し上げようと思います。
ウクライナ戦争を経て日本が本格的に問われる「抑止・専守防衛・国防」の本質
9月に刊行された『非戦の安全保障論 ウクライナ戦争以後の日本の戦略』(集英社新書)の刊行を記念して、編者である「自衛隊を活かす会」主催の講演会を開催した(2022年10月14日、衆議院第二議員会館)。講演ではウクライナ戦争を考える上で多くの知見が示されたので、ここに講演での著者4人の冒頭発言を一人ずつ紹介する。第四回目は柳澤協二氏。
非戦の安全保障論 ウクライナ戦争以後の日本の戦略④
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大国に頼る抑止の不確かさ
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