「まさか、ロシアが攻めてくるとは思わなかった」

「ロシアとの国境に壁を作るべきだった」「軍事力を増強しておけば」…侵攻から1年、ウクライナの若者たちの「後悔」_1
たかまつなな。2022年8月。ボロジャンカにて
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ロシアがウクライナに侵攻したのは、2022年2月24日。だが、それは決して“突然”の出来事ではなかった。というのも2014年に、ロシアはウクライナの領土であるクリミア半島を軍事力で併合しているからだ。だが、国民の危機感はそこまで深刻ではなかったようだ。

実際、首都キーウや被害が大きかったボロジャンカ、イルピンなどで話を聞いたところ、ほとんどの人が「まさか攻めてくるとは思わなかった」と口々に話す。

ジャーナリストのアナスタシア(26歳)は、ロシアの侵攻を「最後の最後まで信じていませんでした」と言い、ナスチャ(15歳)は、「攻めてくるかもしれないという人もいたが、私も私の友達もそんなことは起こるわけないと信じていなかった」と話す。

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ジャーナリストのアナスタシア
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左から母ニカ、 娘ナスチャ、父セルゲイ

2014年、ドンバス地方での戦闘で避難民となり、イルピンに逃げてきた夫婦に取材した。
妻のオルガは開戦当初、息子から電話がかかってきて「ママ、逃げないとダメだ」「銃で人が撃たれているんだ。銃声は聞こえないの?」と言われたが、街に残った。しかし、2日後に隣の家が爆発した時に初めて「避難しないと助からない」と思ったという。

夫のユーリィ(55歳)に「ロシアの侵攻を防ぐために、何をすべきだったか?」と聞いたら、「自分の国の政府を慎重に選ぶこと」との答えが返ってきた。

「この国では汚職が多く、たくさんの政治家が賄賂を使って当選している。だが、政府の人は安全な執務室から出てくることはなく、被害にあうのは市民ばかり。だからこそ、政府には友好的な外交を結んでほしい。我々はもっと外交政策が得意な政治家を選ぶべきだった」

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妻オリガ(左)と夫のユーリィ(右)