支援員歴1年の20代の職員が責任者になることも

全国学童保育連絡協議会によると、放課後児童クラブの職員の48.43%が年収150万円以下であり、経験年数3年未満の職員が全体の44.8%だ。学校の長期休暇の時期は一日中忙しく、その他の平日は午後から夕方が労働時間になるという不規則な就労状況下で働いている。
国は人件費の拡充のために複数の制度を準備しているが、市町村によってはそれらの制度が全く活用されていない地域も少なくない。拡充のためには市町村の予算を投じなければならないからだ。
十分な給与が支給されない現状が放置されているのだから、当然、離職率は高い。大田区在住の利用者からはこんな声もあがっていた

「利用児童が毎日100名以上いて、支援員は社員とバイトで10人近くいるが、社員もバイトもコロコロかわる。だから子どもの名前も覚えていないし、子どもも支援員の名前を覚えていない。
責任者は支援員歴1年の20代の方で、経験も浅い。子ども同士のトラブルでケガが起きることもしょっちゅうで不安だが、私も仕事があるので預けるしかない」(大田区在住・小学2年生保護者)

岸田首相の“異次元の子育て対策”はどこへ…「教室2部屋分の広さに120人の児童」「支援員の半分は年収150万円以下」児童も保護者も支援員も嘆く、学童保育の現状_3
Twitterには学童に落ちたことを報告する保護者が多数みられる
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放課後児童クラブの全国登録児童数は2022年時点で134万人以上。放課後児童クラブも、そこで働く支援員も数は増えているが、入りたくても入れない「待機児童」が多いのは保育所と同様だ。
2022年には1万5000人以上の「学童の待機児童」がいるが、そもそも「放課後児童クラブ」がない地域もある。そこでは待機児童をカウントすらできず、正確な数は不明といえるだろう。

ニーズに追いつけない現状を放置して「定員オーバーの学童」に預けるか、「学童の待機児童」になるかは究極の二者択一。たとえ預けられても、職員の処遇や就労の不安定さについても対策しないままでは、保護者の心配が尽きることはない。

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取材・文/大川えみる
集英社オンライン編集部ニュース班