今も30円という値段を貫くワケ

駄菓子、おつまみの定番メーカーとしての地位を築いたスグル食品。その後もかまぼこ、がんすといった練り製品事業を開始したり、プロ野球チーム「広島東洋カープ」とのコラボ商品「カープカツ」を販売したりと業態を広げていった。50周年を迎えた現在も自作の3Dアバターを配布するなど、食品メーカーとしての枠にとらわれない斬新なプロモーションを行っている。

「低価格で子どもをお腹いっぱいにしたい」創業者の想いが息づく駄菓子の「ビッグカツ」。“ビッグ”に込められた「会社の命運」とは_8
2019年作成のビッグカツくんのアバター
「低価格で子どもをお腹いっぱいにしたい」創業者の想いが息づく駄菓子の「ビッグカツ」。“ビッグ”に込められた「会社の命運」とは_9
50周年を機に「機械化を!」とのことで実現した「機械化ビッグカツくん」
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ただ駄菓子の宿命か、安くなければ買ってもらえないという苦悩もあるそう。値上げを肯定してくれるファンもいるだろうが、それでも馴染みの商品の価格が上がることに衝撃を受けるファンもいることは想像に難くない。

「駄菓子って安くてうまいから買ってもらえているという側面があると思うんです。そしてビッグカツに関しても、『子どもが買える安い価格でお腹いっぱい』という創業者の想いがあって誕生した商品ですので、子どもが購入できない価格帯にはしていません。だから発売当初から変わらぬ30円という価格を貫いているのです。弊社としては、これからも家族の憩いの味となる商品を作り続けていきたいですね」

「低価格で子どもをお腹いっぱいにしたい」という創業者の想いが、今なおスグル食品の根底に流れている。
幼少期にわずかなお小遣いで買ったあの駄菓子たちは、世代を超えて今なお人々に愛されているのだ。

取材・文/文月/A4studio