子どものご馳走を目指し、生まれた

1970年代後半、スグル食品は「フライができるのだから次にカツを商品化できないか」と考えるようになった。そこで当時のご馳走で子どもたちから人気の高かったとんかつをモチーフに、「ビッグカツ」の原型となる商品の開発が始まる。

「その時代のおやつって、少量で物足りないものが多かったそうです。ですからコンセプトとしては、子どもが買える価格でカロリーも高くて、子どもたちにとってちょっとした贅沢品となるような商品を目指すことにしました。

ビッグカツといえば、サクっとした衣に固めのプッチンが入ったお菓子ですが、開発初期はカステラのようなふんわりとした食感を目指していたんです。その頃はカステラもご馳走であり、材料も共通しているものが多かったので。ただ結局、開発途中で柔らかくできなかったため、その構想は頓挫してしまったようですが(笑)」

こうして紆余曲折あって出来上がったのが、ビッグカツの原型となる『おやつ串カツ』。そのころはまだ個包装ではなく、大きなポットの中に串を刺したカツを30本ぐらい入れ、主に駄菓子屋で販売した。価格は1本10円だったそうだ。

「低価格で子どもをお腹いっぱいにしたい」創業者の想いが息づく駄菓子の「ビッグカツ」。“ビッグ”に込められた「会社の命運」とは_3
画像は現在の「おやつ串カツ」であり、1本30円で販売している

思うように売れず全国に営業まわり

1980年代に入る頃には、コンビニエンスストアやスーパーマーケットが台頭してきたため、駄菓子屋に卸すのとは違って個包装にして製造する必要が出てきた。そこで名前を今の「ビッグカツ」に改めて販売開始することに。価格は発売当初から現在まで30円のままだ。

「ビッグカツは、大きいカツという意味だけではなく、会社の命運を託したという意味も込めて“ビッグ”と冠せられたそうです。
なんでもビッグカツを販売するにあたって、フライヤーなどの工程ラインの設備投資に莫大な費用がかかってしまい、そのうえ30円という安価で売らなくちゃいけないという薄利多売な面もあったので、なんとしてでも大ヒットしてもらわなければ困るという状況だったんです」

企業として勝負をかけて誕生したビッグカツ。だが残念ながら発売したばかりの頃の売れ行きはかんばしくなかったという。

「当時、カツという商品名なのに中身が魚肉という商品は前例がなく、販売所に営業をかけるときにどうアピールすればいいかわからず、悪戦苦闘していたようですね。1本30円という安さで売るために機械はフル稼働させなくちゃいけなかったので、在庫は増える一方で経営がピンチに。創業者はこのままではまずいと考え、北は北海道から本州の関東、関西など渡り歩き、必死に営業して回っていたそうですよ」

そうした草の根の活動が功を奏し、次第にビッグカツの知名度は向上していった。