つまらないときにちゃんとつまらないと伝える(佐久間・林)
佐久間 でも、本当にそれは芸人さんとの付き合い方と近いかもしれないですね。芸人も打ち合わせの仕方から何から、僕のやり方というよりは芸人に合わせた正解を探していくという感じなので。
林 そうですね。しかも、ステージによって変わっていったりもしますよね。まだ新人賞ステージのときと連載のときとでは関係性も変わる。だから、何ができるかずっと考えながらやっている感じです。これでいいのかな、お役に立てているのかなって。
佐久間 なるほどね。僕の場合、ちょっと違うのは、僕がゼロベースからつくって「当て」にいくこともけっこうあるんですよ。芸人さんに「プレーヤー」として出てもらうこともあるから、そのときはこの役割が欲しいんだということを言う。総じて僕の場合は仲良くなり過ぎないようにいていますね。
林 芸人さんと?
佐久間 はい。それが決まりだと思います。つまらないときにお互いつまらないと言えるように。
林 それは本当にそうですね。
佐久間 やっぱりありますか?
林 あります。作家さんが売れてくると周りがどんどん言わなくなるから、作家さんから逆に言われることもありますね。「ちゃんとこれ面白いですか?」とか「ファンが面白いと言っているからって面白いとは言わないでください」と言ってくる方もいらっしゃるので、逆にピリッとさせられるというか、ああ、遠慮したらダメなんだと。
たぶんここでつまらないと言わなかったら、僕の役割はほぼいらなくなっちゃうので。作家さん自身、本当につまらないと確信しているものをあえて見せてくることもあって、そういうときに面白いと言ってしまったら、信頼がなくなるんですよね。
とはいえ、べつに無理やりつまらないと言う必要はなくて。なので、迷いながら、でも自分の本心に従って、ちゃんと面白いかどうか、つまらなかったらどうすべきなのか、面白かったら何を強化すべきなのか、そういうことは伝えるようにしています。
つづく
Photos:Teppei Hoshida
Interview & Text:Masayuki Sawada