キングオブコントが「M-1以上にキツイ」ところ
——でも、人間なので、他人の評価も得たいという思いも当然ありますよね。そのあたり、どう折り合いをつけ、どこまで変えられるかということですよね。
辻 あと1年で間に合うんかな……。そのスタイルチェンジが。スタイルも大事ですけど、おもろいというのが大前提なので。新しいけど、おもんないみたいになってしまったら元も子もないんで。
——ニッポンの社長のネタは多彩なので、非常に器用な印象があります。2人なら、2人にしかできないツッコミと熱量のある、今までにないようなネタができるんじゃないかなと期待してしまうのですが。
辻 いや、僕らは、めっちゃ不器用なんですよ。フリートークとかでも、おもろいこと言えないですし。演技も決して上手いわけではないんです。総合の五角形で言えば、めちゃめちゃいびつ。器用ということで言ったら、ロングコートダディの方がはるかに器用ですよ。あいつらはコントがなくても、いくらでも才能を発揮できる分野がある。
でも、僕らは現状では、コントしかない。そこに賭けているぶん、融通が効かないところもあんのかな。なので、変えると言ってもどこまで変えられるのか。現段階では、ぜんぜんわからないですね。
——キングオブコント史上、優勝するまでに要した出場回数の最多記録はジャルジャルの4回なんです。なので、次に出たときに優勝したら、並ぶことになりますね。それを超えると、キングオブコントの新記録になります。
辻 ジャルジャルさんは、もっと出ているイメージがありましたね。
——そうなんですよ。意外と少ないですよね。2010年に2回目の決勝出場を果たしてからは、8年連続で準決勝止まりと、決勝を目前に長いこと足踏みしていたんです。2019年に9年ぶりに決勝に出場し、翌2020年に2年連続でファイナリストとなって、やっと頂点に立ちました。この記録を見るだけでも、ジャルジャルの苦労が偲ばれます。
辻 やはり何度も決勝に出ていると、準決勝が壁になってくるんですよね。少々、変えただけでは、同じだと見なされてしまう。
——そこへ行くとすごいのは、M-1における笑い飯ですよね。9年連続で決勝に出続けて、9回目で優勝するという。ニッポンの社長も、キングオブコント界の笑い飯になれるんじゃないですか。もちろん、もっと早くに優勝できるに越したことはないですが。
辻 確かに。それもおいしいですよね。ただ、準決勝で上げてくれるかどうかやな。
ケツ キングオブコントの場合、準決勝は毎年、ネタを2本やらなあかんわけですからね。そこはM-1以上にキツイと思う。酷な大会ですよね。