「最後のページはこう」と決めてから描く
――今回の『ニーティング・ライフ』は上下巻で完結しますが、筒井さんのこれまでの作品も2,3巻でギュッと凝縮したものが多いですよね。
そうしようと決めている訳ではなく、自分の能力の限界で短い話しか考えられないんです。『ノイズ【noise】』や『有害都市』も「最後のページはこう」って決めてから描きました。そこに辿りつくまでの道はボヤッとしていますが。
――映画的な創り方ですね。
そうかもしれないです。マンガ家を目指しはじめた頃は、映画のシナリオの書き方みたいな本をよく読んでいましたから。映画が好きなので、お手本にしているところも多いです。
――ちなみに近年見たなかで印象に残っている映画はありますか?
『THE FIRST SLAM DUNK』は素晴らしかったです。青春ど真ん中の世代だったので。『すずめの戸締り』も素晴らしかった。話題になる作品って、やっぱり力を持っているんだなと思いました。作業しながら配信でアニメを観ることも多くて、最近だと『チェンソーマン』や『ブルーロック』が面白かったです。
僕の作風的なところでいうとサイコサスペンスですが、最近はそっち系が見れていなくて。単行本作業が終わってから観たいと思っている作品のひとつが、『ミッドサマー』を手掛けた配給・制作会社A24の『LAMB/ラム』です。
――2022年の1月は、実写映画『ノイズ【noise】』が公開されました。『予告犯』も実写映画化、ドラマ化されていますが、ご自身の作品が映像化されることに関しては、どんな思いを抱いていらっしゃるのでしょう?
基本的に脚本にはあまり口を出さず、自由にやってくださいというスタンスです。有名な俳優さんに演じていただくのも、めちゃくちゃ嬉しいですしね。ただ、自分が考えた決めセリフを、映画を通して聞くのは気恥ずかしいです。自分の内側をさらけだしているようなところがあるので。