絶対にすべらない風俗話を漫画化
――このたび『くも漫。』が、集英社オンラインで配信されることになりました。
僕は『キン肉マン』や『ドラゴンボール』、『SLAM DUNK』が連載されていた頃の「週刊少年ジャンプ」直撃世代なので、自分の漫画を集英社さんに扱っていただけることが夢のようです。
実は3 、4年前くらいにいまさら赤塚賞に応募したこともあるんですが、全然ダメだったんですよ(笑)。
――『くも漫。』は、ご自身にとってどのような作品ですか?
映画化もされましたし、自分の漫画で一番売れた作品なので、名刺代わりの作品ですね。
「『くも漫。』読みました」という声は、ほかの漫画に比べると圧倒的に多いです。ただ、『くも漫。』以降も特に変わったことはなく、生活は苦しいままです。
――本作は中川さんが29歳のときにくも膜下出血を発症した実体験を描いたルポ漫画ですが、実際に発症したときはどう思いましたか。
それまで健康だったので「まさか自分が!」という感じでしたね。前兆がまったくなかったので。
――一番つらかったことはなんですか?
肉体的にいうと、手術直後の頭の痛みと吐き気がすごかったんですよ。それが集中治療室で連日夜通し続いたのはかなりつらかったですね。
それと術後2週間は血管攣縮が起こる可能性があったので、気の休まらない時間が続いたのも精神的にきつかったです。血管攣縮が起こると、半身麻痺や言語障害といった後遺症が残ってしまうので怖さもありました。
――入院中は「死ぬかもしれない」という不安もあったのでしょうか。
ありましたね。特に、集中治療室では周りで亡くなる方もいました。
真ん中にナースステーションのようなブースがあって、その周りをベッドがずらっと囲っているんです。あっちには苦しんでいる人がいて、こっちでは「お亡くなりになりました」と告げられている家族がいて、みたいな。
そんな中を看護師さんが行ったり来たりしていると、もしかしたら自分もそうなるのかも、みたいな不安はありました。