きれいな線よりかさついた線が好き
――『ニーティング・ライフ』は、これまでの絵柄から少し変わったように見えたのですが、作画に関して変化した部分や意識された部分はありますか?
基本的にアナログで描いて、デジタルで仕上げるスタイルは変わっていません。『有害都市』の頃はシャーペンで描いた線を取り込んでいて、『ノイズ【noise】』からつけペンに変えたぐらいです。
――小森のキャラクターデザインが今までの作品より丸いので、そう思ってしまったのかもしれません。
そうかもしれませんね。だけど、いま見返してみると小森の顔がかなり変わっていますね。ここは、いまいちだな……。
――この絵が「いまいち」なんですか!?
なんかバランスが悪いと気になっちゃうんです。落ち着いたらデッサンしないと。
――飽くなき向上心ですね。理想の線が頭の中にあって、それに向かっていくという感じでしょうか。
そうですね。デジタルだとめちゃくちゃキレイな線が引けるのですが、僕自身はかさついた感じの線が好きだったりするんです。メビウス(バンド・デシネの最重要人物)の線とか、ほんとうにいいなと思っていて。(蔵書を開きながら)カッコいいですよね。ここまで写実的にしちゃうと、マンガとしてはちょっと動かしにくいんですけど。
――筒井さんの作品はフランスでも評価が高いですよね(『有害都市』がコミック評論家・ジャーナリスト協会賞(ACBD)2015で最優秀賞受賞など)。
ありがたいことです。