芸能人にとって「珍回答役」は群雄割拠のポジション

改めて野々村真といえば『ふしぎ発見!』の珍回答役として知られる。

この「クイズ番組珍回答役」の歴史は長く、野々村以前にもその役回りを担った芸能人はいた。

たとえば『クイズダービー』(TBS)で言えば一枠の篠沢(秀夫)教授や二枠の山崎浩子・井森美幸などがそうだったし、古くはガッツ石松が五枠のレギュラーだった時期もある。

その後『平成教育委員会』(フジテレビ)における渡嘉敷勝男、岡本夏生などを経て、『クイズ!ヘキサゴン』(フジテレビ)のおバカブームで、この役回りはある種の頂点を迎える。

元々は真剣なクイズ番組の中で、真面目すぎても娯楽にならないところを埋める重要な脇役として珍回答役がいたわけだが、『クイズ!ヘキサゴン』は寧ろそちらを主役としたところが新しく、大ブームを巻き起こした。

ご存じの通り、番組内でグループが結成され、歌を出し、芸能界では二匹目、三匹目のどじょうになるべく、おバカキャラが大量発生する副作用があった。

「おバカブーム」が去った後も重宝される「珍回答役」とは!?

今ではおバカブームも一段落し、その中心にいた者たちもそれぞれキャラ変した。キャラ変について責めることはしない。芸能界でサバイブするとはそういうことだからだ。

もちろん引き続きクイズ番組で珍回答役を担う人はいるが、単純におバカを笑うというよりは「◯◯なのにおバカ」「おバカなのに△△」と言った、キャラに乗っかるプラスアルファの魅力としておバカを楽しむようになってきている気がする。

たとえばSnow Manの目黒蓮は音楽番組やドラマのイメージと、バラエティでの珍回答連発とのギャップが魅力になっているし、『呼び出し先生タナカ』(フジテレビ)での横河尚隆のように筋肉バカキャラの期待に違わぬおバカっぷりを見せるキャラ上乗せのパターンもある。

加えていえば、芸人が「ボケとして」正解を狙わないのも当たり前となっており、ある意味「珍回答は作れる」時代となっているのも近年の傾向だろう。血眼になって天然物の「第二の羞恥心」「第二のPabo」を探さなくても(人工の)ボケ回答をしてくれる人は腐るほどいるわけだ。