雑誌にも取り上げられた野々村真の珍回答

そんな時代の変遷を経る中、36年の長きにわたり天然のボケとして珍回答役を担い続ける野々村真はやはり唯一無二の存在ではないだろうか。

『ふしぎ発見!』開始当初の雑誌に当時の彼の珍回答集が出ていたが「古くから中国で不老長寿の薬とされている日本でもお馴染みの飲み物は?」に対し「養命酒」、「アステカ王国の雨の神に対する生贄として捧げられた人の特徴は?」に対し「おねしょをした」、「インドで白檀(びゃくだん)を他の似ている木と判別するために使った動物は?」に対し「シロクマ」といった具合である。

作られたボケ回答の面白さに慣れた2023年の我々にとっては、どれも爆笑とまではいかず微笑ましいくらいのレベルだが、逆にそれがリアリティを感じさせる。

この「真剣だけど、回答がボケになってしまう」状況が「本人の天然によるもの」だと感じさせる絶妙なさじ加減が、彼を今のポジションに留まらせているのだと思う。

大御所感がゼロのまま「珍回答役」を続けられる才能

現にあまりの正答率の低さとボケぶりに当時視聴者の人が心配して本人の実家に参考書や百科事典を送ったというエピソードもある。草野仁が、野々村の回答があまりにもあさっての方向へのトンチンカンっぷりだったことに困惑し、収録を一時止めたという話もある。

本当のところはわからない。

36年間もこれをやっているのだから、時にはボケにいっている回答もあったのではないかと思う。しかしそれでも視聴者に常に天然だと思わせることができるのはある種の才能である。

また、普通40年も芸能人をやっていると多少なりとも大御所感が出てきてしまい、珍回答役を担い続けるのが苦しくなってしまうものだが、野々村真にその雰囲気が今もってゼロというのもすごい。

所属する事務所では一番の古株、娘の香音は今やZ世代のカリスマ。それでも全く貫禄が出ない。これはなかなか出来ることではない。本人も昨年の雑誌インタビューで「40周年を強調しないでほしい」「大御所扱いされちゃったらキャラが死んじゃいますから」と、自身のストロングポイントを十二分に理解した発言をしている。

珍回答のいじられ役に暗雲? キャリア40年越えの大御所・野々村真がシンパイな『世界ふしぎ発見!』リニューアル問題_1
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