第2位:『ビジターQ』(2001年)
ここで邦画からも一作品。三池崇史監督のエログロ・サイコ・ファミリー・ラブドラマ(?)、『ビジターQ』(2001年)の主人公一家について言及しておきたい。やはり〝個人〟というよりも〝集団〟としての紹介になる。
主人公一家は元々四人家族だったが、長女は家出中。今は風俗嬢として糊口を凌いでいる。ニュースレポーターの父は、かつて取材中に不良集団から暴行を受け、全国的な晒し者にされて以来、事実上の失業中。その後はどこか精神が錯乱してしまったようで、ナイトレジャーの取材中に家出した上記の長女との近親相姦に及んでいる。
長男はほとんどリンチに等しいイジメに遭っており、このところ不登校気味のよう。その鬱憤を、母親に対する陰惨な家庭内暴力で晴らしているという有様。
そしてその母は心を病んでおり、援助交際で小金を稼ぐと麻薬を用いて気晴らしを行っている──という、家庭崩壊というレベルでは済まないこじれ方をしている。
さて、このおぞましき一家のもとに、突如として正体不明の訪問者が現れてからというもの、もはや修復不可能かと思われた家族関係に変化が生じ始める、というのが本作のあらすじ。が、その変化の過程においても主人公一家のぶっとびぶりは凄まじく、詳細は伏せるが過激でインモラルなアングラ的展開が満載なのだ(が、どうもテーマは愛のようである)。
誰も彼もやばい奴ばかりの本作、一部の好事家には強烈に刺さるだろう。