第5位:『クラークス』(1994年)
『Mr.タスク』(2014年)などでおなじみケヴィン・スミス監督作『クラークス』(1994年)は、制作費〝2万8000ドル〟のコメディ・ドラマ。
主人公のアルバイト店員ダンテは、ありふれた若者の一人だ。休日出勤にぼやいたり、クレーマー気質の客と揉めたり、ときには店より私用を優先しながらも、最低限度の業務はこなそうとする成人男性。不満は多いがもっぱら現状に甘んじる方を選択し続けており、「性に奔放な恋人が、自分以前に36人と口腔性交を行っていた」など、現実にありそうでなさそうな、微妙なラインの問題に悩まされている。
そんな彼が職場でてんやわんやな一日を過ごし、心身ともにくたびれ切った末に、ちょっとした教訓めいたものを得つつ、さわやかに閉店する。合間に挟まるクエンティン・タランティーノ風の与太話と、独特のゆるい雰囲気が特徴の、オシャレさと俗っぽさが両立した一本だ。
ちなみに本作と設定で世界線を同じくする『モール・ラッツ』(1995年)や『チェイシング・エイミー』(1997年)などの作品群が、〝ヴュー・アスキューニバース〟として知られている。