「ウケない」より「上手に歌えない」が悔しい
数多くのあるあるの中で、とりわけ登場回数が多いのがバービーボーイズの『目を閉じておいでよ』。イントロのギター、杏子とコンタのツインボーカルをパートごとに歌い分ける。
「何より大事にしているのは再現力。まずは曲を大切にします。表面だけなぞって歌ってるだけじゃ相手の心には響きませんから。これを教えてくれたのが椿鬼奴さん。
20年くらい前、大阪から東京へ出てきて、仕事もお金もない、友達もいない時代にいろいろ助けてくれた仲間の一人です。
あるあるとは別に鬼奴さんとデュエットでバービーボーイズのモノマネをやっているんですが、いろんな人から言われるんです。『歌だけならもっと上手な人はいる。けど、バービーボーイズへの愛がハンパじゃなく伝わってくる』と。歌は嘘をつかないんですよ」
音楽への愛情があってこその再現力。どんな曲も原曲キーで歌う。
広瀬香美『ロマンスの神様』、X-JAPAN『紅』、洋楽ならばクイーン『ウィー・アー・ザ・チャンピオン』、ジャーニー『オープン・アームズ』、a-ha『テイク・オン・ミー』などなど。女性でも歌うのが困難なほどの高音パートも、RGは声を張り上げる。
「アカペラでのあるあるも多いので、キーを下げると『これなんの曲?』と伝わらない恐れがあるんです。
曲の出だしからギター、ベース、ドラムの特徴的な演奏も声で表現し、サビの部分は元の歌詞そのままにすることでわかりやすさを心掛けています。音程だけでなく、リズムも狂ってはダメ。とにかく、原曲で伝える」
熱く語るRGに、かねてからの疑問を投げかけた。ひょっとして、歌いたいだけ?
「実は……あるあるがウケなかったときより、ちゃんと歌えなかったときのほうが落ち込みます(笑)。
FUJIWARAの藤本(敏史)さんに『お前のあるあるは音符にきっちり当てはめるのがすごい!』とか、ヒャダインさんに『楽器の音の入れ方がすばらしい』とか。そこを拾ってもらえるとめちゃくちゃうれしい。
実際、あるあるが楽曲のリズムにきれいにハマればハマるほどウケがち」