すべての会社員の目的はひとつ、それは…
最初に強調して申し上げますが、目的を共有できていないのは「若い社員」ではなく、おそらく、あなたの方です。少なくとも、寄せて下さった文面から、私はそう受け取りました。あなたは「物足りない」という言葉をお使いになっておられますが、同時に「優秀でソツなく仕事をしてくれる」ともおっしゃっています。
優秀でソツなく仕事をしてくれるなら、人物評価としてはまったく何の問題もないはずですが、物足りない。その理由は「意外性のある仕事やびっくりするような仕事」が出てこないから――もう、この時点で「主格」が変わってしまっていることに、お気づきになられましたか?
「優秀でソツがない仕事」の主格(評価する立場/主体)は、「会社」です。ところが「意外性があり、びっくりさせられる仕事」の主格は、会社ではありません。「あなた」です。優秀、ソツがないというのは業績に対する評価ですが、意外に思ったり、ビックリするのは「あなたの気持ち」に過ぎません。
しかし、すべての会社員の方々は「(同じく会社員である)あなた」のために存在するのではなく、「勤務する会社」のために存在しています。その最大の目的は「あなたを驚かせることや、満足させること」ではなく、「会社に利益をもたらすこと」でしょう。
ひょっとすると、あなたが抱えるストレス(物足りなさ)は、若い時分に「あなたが(上司に)されたこと」を、「今度は、自分が(部下に)してみたい」という願望が叶えられなくなってしまった現状に発している可能性があります。
あなたが「物足りない」と感じている相手は「若いZ世代の社員」ではなく、実のところ、かつて目標とした「年上の理想像」をまだ体現できていない、あなた自身なのでは?
あなたが寄せてくださった文章からは、自覚も垣間見えます。本当は、どうすべきなのかも分かっていらっしゃるのではありませんか。
#1「子供が最優先」をやめたら親ではないが、すべて「子供が最優先」にしても親にはあらず…比叡山大阿闍梨の育児アドバイス
取材・文/山田傘 写真/黒石あみ