4世帯に1世帯が「年収1000万円以上」?
「“失われた30年”のあいだ賃金はほとんど上がらず、最近の円安もあって、日本はどんどん貧乏くさい国になっている」といわれている。
これは残念ながら事実に相違ないが、世帯あたりの平均所得金額の推移に注目すると別の風景が見てくる。
2021年の国民生活調査では、全世帯の平均所得金額は、2011年の548万2000円が10年かけて564万3000円に増えただけだ。これでは年率0.3%の伸びにしかならず、日本の家庭はこの10年まったく豊かになっていない。
だが「児童(18歳未満の子ども)がいる世帯」では、様子がずいぶん異なる。2011年の世帯収入は687万円だったが、それが2021年には813万5000円に増えている。こちらは年率1.7%の伸びで、全世帯平均の6倍超だ。
さらには、所得金額の分布を見ると、全世帯平均では1000万円以上が12.7%(およそ8世帯に1世帯)だが、児童のいる世帯では24.8%にもなる。子どものいる世帯では、およそ4世帯に1世帯が「年収1000万円以上」なのだ。――さらに「年収800~1000万円」の世帯16.2%を加えれば、2~3世帯に1世帯(41%)が「年収800万円以上」世帯になる。
だがこれは、なにかおかしいと思わないだろうか。