お坊さんの世界でも世代間ギャップが…!?

Z世代との関係性に悩む30~50代会社員へ――「すべての会社員の最大の目的は『上司を満足させること』ではなく、『会社に利益をもたらすこと』なのです」_1
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まったく他人事とは思えません。若い皆さまとの距離感の難しさについては、47歳になった私自身も考え込んでしまうときがあります。1990年中盤から2010年代の生まれを「Z世代」と呼ぶのだと、編集者の方から伺いました。ということは、20代前半の社員の方を指すのでしょう。40歳のあなたとは、ひと回り以上離れていますね。

私は、東京の中学校を卒業した直後に、無動寺谷・明王堂の小僧になりました。15歳のときです。世間では誤解されることも多いですが、「お寺の小僧さん」は、必ずしも「お坊さんの卵」ではありません。小僧さんは、お坊さんの前段階ではなく、厳密には「別の職域」なのです。

天台宗の場合でいえば、比叡山の行院(修行道場)で決まったカリキュラムを履修することが、僧侶になるための条件になっています。つまり形式の上では、お寺で小僧生活を送らなくても、行院でカリキュラムさえ履修すれば、お坊さんになれるわけです。他方、どれだけ一所懸命に小僧生活に取り組んでも、行院に通わないかぎり、その方は5年経っても、10年経ってもお坊さんにはなれません。

ただし、その方がそもそもお坊さんになりたいと望んでいらっしゃらない場合には「なれません」という言い方は、本質からズレてしまってます。実際、すべての小僧さんがお坊さんに「なりたい」と願っているわけではありません。お坊さんを目指すのではなく、きわめて立派で、誠実な「一流の小僧さん」として30年以上にもわたって、さるお寺に勤める小僧さんもいらっしゃいます。