アラフォーとZ世代で「最大の目的」を共有すること

こうした点から考えると、自分が「年の離れた小僧さん」との距離感に戸惑ってしまう原因は、私が住持するお寺に住み込んでくれた幾人もの小僧さんたちもまた、必ずしも「千日回峰行の行者を目指しているわけではない」という、そもそもの前提の食い違いが原因のひとつとして考えられると思い当たりました。

もちろん当初、15歳で比叡山にお世話になった私自身の目的も「行者」ではありませんでした。私が小僧生活を始めた明王堂は、千日回峰行の拠点です。師僧の覚道阿闍梨は千日回峰行を行じていらっしゃる只中でしたが、私は数年ほどお世話になったら、お坊さんにはならずに山を下りて、世間に戻ろうかとさえ考えていたのです。

それでも、お寺の場合、僧侶であれ、小僧さんであれ、「仏さまにお仕えする」ということ、つまり「最大の目的」は一致しますので、その点についての「食い違い」は許されません。ですから、師僧や先輩の小僧さんから叱られる際にも、その理由が「仏さまに対する無作法」であれば、自然と叱責も受け止められました。

さて、会社(会社員同士の上下関係)の場合はこの点、つまり「最大の目的」が問題をややこしくしているように思います。あなたと「Z世代の若い社員」がしっくりいかない原因は、おふたりが「最大の目的」を共有できていないからではないでしょうか。