若者に伝わるスピード感がバラエティにも必要
下山氏が手掛ける『過ぎるTV』は、なるみとナインティナイン・岡村隆史が司会を務める番組で、来年で放送10周年を迎える。「ナイトinナイト」枠の中ではもっとも関西色の強い番組で、関西エリアの街やグルメ、人をディープに紹介していく企画が多い。なかでも、ベテラン漫才師、ティーアップ・長谷川宏の個性的なファッショニスタぶりに密着した「オシャレ過ぎる長谷兄コレクション」は、関西人に愛される企画となっている。
「確かに『過ぎるTV』は、いちばん関西のことを意識していて、関西の人に見てもらいたいという思いで、大阪でも注目されている岸和田(「だんじり」で有名な大阪府泉州地方の街)や堺の特集をしています。なので、全国に配信しているTVerやGYAO!ではどうしても再生数が伸びない。
でも、この番組は全国に浅く広く、という方向性ではないですし、敢えて広げず、むしろターゲットを狭め続けています(笑)。それができるのも、『相席食堂』のような配信に強いコンテンツがあるから。だからといって、みんながみんな『相席食堂』と同じことをしていたらダメだと思うので」
一方、テレビを持たない若者が増えていく中で、視聴者層の拡大と共に、演者にとっても「出たい」と思われる番組の制作がひとつの課題だと語る。「ナイトinナイト」としてテレビバラエティの“らしさ”を保ちながら、どのように若い世代を取り込んでいくか――賞レースの制作も担当する下山氏にとっても、その最適解を探している段階と言える。
「『M-1』もそうですが、賞レースがめちゃくちゃ盛り上がっている状況なのは間違いないです。ただ、YouTubeでいくらでも自分で発信できる時代なので、賞レースで人気を獲得した芸人さんが、いつまでテレビに出たい、ロケに出たいと言ってくれるかわからない。その受け皿として、僕たちのバラエティがちゃんと応えられるかは問われていると思います。
というのも、YouTubeやTikTokのような、テンポが早くてパッと見でわかるコンテンツに比べると、テレビは明らかに説明くさいメディアなんです。それがテレビの良さでもあり、役割でもあるのですが、説明するところはしつつも、若者にも見てもらえるテンポ感、スピード感。それを取り入れたバラエティを作るのが今後の目標ですね」
取材・文/森樹 写真/朝日放送テレビ
番組情報
なるみ・岡村の過ぎるTV 毎週月曜夜11時17分~
相席食堂 毎週火曜夜11時17分~
これ余談なんですけど・・・ 毎週水曜夜11時17分~
やすとものいたって真剣です 毎週木曜夜11時17分~
探偵!ナイトスクープ 毎週金曜夜11時17分~